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2008.11.16
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カテゴリ:本番日誌

(S)≅2000m(B)≅90km(R)≅2km

眠れん。眠れん。極度の緊張。あと数時間でスタートだ。昨夜も数時間しか眠れなかったのに・・・。

小心にも程がある。

目覚ましが鳴った。果たして私は眠っていたのだろうか?起きていたのであろうか?とにかく何だか分からない状態でレースの朝を迎えた。

ホテルから会場へ向う車の中で目を瞑る。数分でも寝よう、と考えながら目を瞑るのだが、眠れる筈はない、と自覚していた。

会場で、上腕とすねにナンバリングをしてもらった。おお!感激!この儀式をしたからには、もう後戻りはできない。途端に胸が締め付けられるように苦しくなる。

ゲホ、ゲホ・・・オエッ(吐いてないよ)

ヤバイね。このままだと100%溺れるに違いない。

「Y!(ムシゴロウの名)何緊張してるんだよ~」とボス。
「ヤバイです・・・」
「深呼吸、深呼吸!初レースなんだから、完走できれば上等だよ」
「はい・・・完走できないかも・・・」

ああ、情けない。こんな緊張の仕方は、うん十生きてきて初体験だ。心臓がギュ~となって、脈拍数が跳ね上がり、何だか訳の判らん吐気のような「オエッ」の連発が続く。

スタート時間が近づくにつれ、出場選手達が続々と準備を始める。皆、ウェットスーツだ。ムシゴロウは普段の水着。「綺麗な海を泳ぐのにウェットを着るのは勿体ないよ」という多くの人の意見を間に受けての水着であった。

気が付けば、ほぼ全員。98%の選手がウェットスーツを着ていた。この光景に恐怖と気後れを覚える。皆速そうだ・・・。

「Y、まだ、緊張してんのか?」とニヤニヤしながら近づくボス。
「周りが速そうです・・・」
「緊張してるから速そうに見えるだけだ。いつもの練習通りに泳げば全く問題ないって。リラックス、リラックス!」
「はあ・・・」

スタート5分前。全身コチコチ状態のままで一番後方に立つ。深呼吸をしようとしても、空気を八分しか吸い込めない。このままだと溺死する。

スタート1分前。緊張の絶頂。このままスタートしてしまっていいものか?プールじゃないから足はつけないんだぞ。

スタート・・・。

手足を動かす。どうやら進んでいるようだ。気付けば前後左右を囲まれていた。息苦しい。顔が熱くなってゆく。落ち着け、落ち着け。ちょっと冷静になる。息を吐く事を忘れていた。過呼吸になっていた。ペースを落とし、息を吐く事を意識する。

ちょっとだけ冷静さを取り戻す。ヘッドアップ。最初のブイが見えてきた。目の前には大量の水飛沫。後方集団のデタラメキックだ。何と酷い泳ぎ方だろう。さっきまで速そうに見えていた人々の正体がこれだったとは・・・。

ブイを大きく回りながら、後方集団を迂回するコースを取ることにした。あの中に入るのはリスクが大きい。少しずつ、モノを考えるだけの余裕が出てきた。

スイムは沖にある2つのブイを反時計回りに回るコースだ。ショートは1回、ハーフは2回だ。私は、後方集団の中でも比較的綺麗な泳ぎをしている選手を一人ターゲットに、彼を左におきながら泳ぐことにした。ちょっとズルイ感もあるが、無駄にヘッドアップして体力を消耗する必要もない。

中々の頭脳プレイと思いながら、彼の斜め後ろを泳いでいたのだが、突然彼が立ち泳ぎを始めた。ブイをロストしたのである。私も立ち泳ぎをしながらブイを探す。ブイは遙か遠いところにプカプカ浮かんでいた。どうやら、我々は沖に流され、大きくコースアウトしていたようだ。もう、他人はあてにできない。ブイを目指して猛ダッシュ。かつてないスピードで軌道修正にかかった。

やっとの思いでブイに辿りつく。時計を確認すると、予定では2周目の半分、つまり1500m地点を泳いでいる筈の時間だった。途端にクスクスを笑いがこみ上げて来た。「今日の目的は完走なんだ。記録より記憶!体力温存!」いつの間にか緊張が解消されていた。

バイク&ラン編に続く・・・ 

 

 

 

 






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最終更新日  2008.11.27 02:42:13
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