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ようやくライブドアv.sニッポン放送の決着が東京高裁で出された。
今日はそれにちなんで。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 昨日下された東京高裁の判決文を隅々まで目を通した。興味深い テーマだったので久々に真面目に読んでしまった。よくもこんなに論点 が多く、難しい事案を短期間で説得力のあるものに練り上げたものだ。 それにしても興味深いのは、焦点の一つとなった企業価値云々。 今回、裁判所は企業価値云々に関しては、司法判断のなじまない ものとして判断構成要素から除外した。 まあそりゃそうだ。そもそも裁判所は適法か否かを法の趣旨に照らして 判断するだけなので経営能力の良し悪しを判断する場ではないし、また その能力も無い。時間的な制約もあったので、ニッポン放送がどちらの 支配下にいたほうが企業価値が高いかを判断するのを避けた恰好だ。 この件についていろいろ考えていたら、『統治行為論』(注)を思い出した。 学生時代、法律をかじった際になんじゃそれ?といまだに思う裁判所の 怠慢とも言うべき判断。 注)統治行為論とは、法的判断が可能(訴訟要件を満たしている)でも、 その高度の政治性の故に司法審査の対象とされない行為を「統治行為」 と呼び、それ故に司法判断を回避することを統治行為論(政治問題の法 理)と呼ぶ。 通常ファイナンスやM&Aの世界でいうところの企業価値とは、『企業価値 =株主価値=投資価値=将来キャッシュフローの現在価値』というのは 周知の事実。 今回ライブドアが支配権を握ることによりフジサンケイグループから取引 を打ち切られる事によって毀損される企業価値は550億円~1450億円 だそうだ。 そんなに開きがあっていいのでしょうか。かなりいい加減な算定です。 ちなみに複数の専門家が算定した場合、その金額の誤差はせいぜい3% ~5%程度。そのくらい算定方法もその結果も合意性の高いものだ。 そもそもフジサンケイグループとの内部取引は13億4千万円/308億円 (単体売上16年3月期)しかないらしいではないか。売上ですよ、売上。 利益ではありません。単体での営業利益率はわずか1.6%。これを内部 取引にそのまま当てはめれば2144万円ですよ。仮に550億円の毀損が あるとすれば営業利益2565年分になります。あくまで単体ベースですが。 合理的根拠のない、いいかげんな数字を出してなんとか企業価値が著し く下がる理由探しをしたようですが、あまりにも稚拙というほかありません。 ライブドアの企業倫理云々を言う前に自らをいろんな意味で省みたほうが いいかも知れません。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年04月19日 12時18分40秒
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