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ノーベル物理学賞,日本人3人が同時受賞の報にびっくりし,感激しました。
小林誠さん(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)と益川敏英さん(京都産業大学教授・京都大学名誉教授)は,いっしょに研究した「小林-益川理論」の業績なので,同時受賞は当然です。 南部陽一郎さん(アメリカ・シカゴ大学名誉教授)は,1960年の業績ですから本人も周囲の関係者も,もっと早く受賞していてもよかったという思いが強かったようです。 3氏はいずれも,素粒子物理学の理論的業績で受賞しました。素粒子物理学は物質世界の成り立ちを究明する科学です。 日本人で初めてノーベル賞を受賞した(1949年)湯川秀樹博士(故人),2人目の受賞者となった(1965年)朝永振一郎博士(故人)も素粒子の理論研究者でした。 湯川秀樹博士のノーベル賞受賞は,素粒子物理学の研究に進もうという多くの科学者を生み出しました。南部陽一郎さんもその1人でした。 小林誠さんと益川敏英さんは,名古屋大学理学部で,湯川秀樹博士の研究を受け継いだ坂田昌一博士(故人)の研究室で素粒子物理学の研究を始めました。 坂田昌一研究室について益川敏英さんは次のように語っています。 「坂田研究室は,非常に自由な雰囲気でした。教官も,大学院生も,お互いに『○○さん』と呼び合うことになっていました。誰でもが思ったことを自由にいえるようにするための配慮がされていたと思います」 益川敏英さんは1970年に,小林誠さんは1972年に京都大学へ就職し,再会しました。1972年に,「小林-益川理論」を完成させています。 3氏の受賞は,最も基礎的な科学の理論分野で,湯川秀樹博士以来の伝統が引き継がれていたことを示しました。湯川秀樹博士は,核兵器廃絶を掲げて平和運動にとりくんだことでも知られています。 この精神も多くの素粒子物理学研究者に受け継がれました。 益川敏英さんは,国内の研究者が平和憲法を守ろうと2005年に結成した「九条科学者の会」の呼びかけ人に名前を連ねています。 素粒子物理学の分野で,複数の研究者名で発表する研究論文は,研究者の役職などにかかわらずアルファベット順で記載することになっているといいます。 こうしたよき伝統が引き継がれ,世界に誇れる科学者が後に続くことを期待したいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 25, 2008 01:28:31 PM
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