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アメリカ大統領選挙で主要二候補による3度のテレビ討論が終わりました。世論調査では,民主党のオバマ候補が拮抗状態を脱し,共和党マケイン候補にリードを広げています。
選挙戦は3週間を残すだけとなり,追い詰められたマケイン陣営はオバマ候補への個人攻撃を強めています。 ブッシュ政権の政策破たんが明らかになる中,次期大統領はだれであれ路線転換を迫られます。 経済のグローバル化を背景に金融で世界を支配してきたアメリカ経済の屋台骨が揺らいでいます。規制撤廃で投機の場と化した金融モデルにレッドカードが突きつけられています。 世界からの膨大な資金流入の変調もあり,借金に支えられた旺盛な消費は維持できなくなっています。実体経済も急速に落ち込み,多くのアメリカ国民が職や家を失う脅威に身構えています。 世界との関係の立て直しも重い課題です。 国連安保理の決定に反するイラク侵略戦争,7年を超えたアフガニスタン報復戦争はいずれも行き詰まっています。 包括的核実験禁止条約(CTBT)への支持を撤回し,核不拡散条約(NPT)再検討会議で核兵器廃絶の約束に背を向け,地球温暖化防止のための京都議定書から離脱するなど,ブッシュ政権の路線はアメリカを孤立に追いやりました。 経済でも対外政策でも,いまアメリカは世界各国に協力を求めるまでに追い込まれています。 ブッシュ政権が追求した一国覇権主義は破たんしました。タルボット元国務副長官は「国際法と国際機関への献身を対外政策の基礎に位置づける」(独誌『シュピーゲル』)よう求めています。 アメリカ国民はブッシュ路線の転換を求めています。 ブッシュ大統領の後継マケイン候補すら現政権に距離を置くことに腐心しています。「チェンジ(変革)」を掲げるオバマ候補は当初からの勢いに加え,経済危機下で支持を広げています。 しかし,オバマ候補にも大きな期待はできません。 民主党予備選ではクリントン候補を,議会のイラク侵攻決議に賛成したと批判しました。しかし,やはり侵攻を支持したバイデン上院議員を副大統領候補に選び,自らもアフガンへの派兵拡大を主張しています。 3度のテレビ討論はいずれも経済問題が中心テーマになりました。 アメリカ国民の強い反対にもかかわらず,両候補とも金融機関への税金投入を支持し,討論は緊急減税のあり方などに集中しました。 オバマ陣営にはルービン元財務長官がブレーンを務めています。同氏は証券最大手ゴールドマン・サックスの共同会長や全米一の銀行シティグループの会長を歴任した人物です。 オバマ陣営もマケイン陣営と同様,両社など金融機関の関係者から多額の資金提供を受けています。 大資本本位の政策を転換できる保証はありません。 テレビ討論には民主,共和両党の候補しか参加できず,ネーダー候補ら他の候補者は締め出されたままです。 ブッシュ政権の路線からの根本転換が求められているにもかかわらず,二大政党の仕組みがそれを妨げ,大統領選を色あせたものにしています。「二大政党制」をもてはやす日本の一部メディアも,そのことに目を向ける必要があります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 27, 2008 08:56:51 PM
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