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地球温暖化防止の次期協定の交渉を担当する外務省高官が,交渉の最優先課題はアメリカ・中国両国の参加であり,アメリカが新協定に不参加なら日本も参加すべきでないと発言していたことが判明しました。
外務省国際協力局の杉山晋輔・地球規模課題審議官は10月23日にワシントンで開かれた日米関係のシンポジウムで発言し,現職に就任した時に高村正彦外相(当時)から,「君の仕事は非常に複雑にみえるかもしれないが,単純に言えばアメリカと中国を関与させることだ」との訓示を受けたと紹介しました。 杉山晋輔氏は,「(世界の温室効果ガス排出量の20%を占める)アメリカが(新協定に)参加しないなら日本も参加すべきではない」と表明。アメリカと同様の排出量の中国も参加しない協定なら「あまり意味をもたない」と述べました。 杉山晋輔氏はまた,「もしアメリカ新政権が来年末までに交渉を達成する覚悟なら日本政府もついていくべきだと思うが,新政権や新議会がアメリカ国内で(新たな温暖化対策への支持を)どこまで獲得できるか分からない限り,日本は中国やインドと交渉しない」と述べ,温暖化問題でも自主性放棄の対米追随姿勢をとることを公言しました。 杉山晋輔氏の端的な発言は,12月にポーランドで開かれる国連気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)に向けて政府が9月末に出した提案文書など,政府の公的立場に基づいたものです。 温暖化防止は,地球上のすべての国が全力を注ぐべき全人類的課題です。 現行の京都議定書の第1約束期間が切れる2013年以降の温暖化防止の新協定に,アメリカや中国が参加することは重要です。ただし,それは,これまでの国際合意を踏まえ,手順を尽くして実現すべきです。 この交渉を首尾よく進めるための最優先課題は,これまでの温暖化に主要な責任を負う先進国に属する日本やアメリカが,率先して野心的な削減目標を掲げ,それを達成すべく最大限努力することです。 ところが杉山晋輔氏が示したのは,(1) 日本の削減目標決定も,それを達成する政策・措置もアメリカ新政権次第,(2) これまでの温暖化に歴史的責任を負うアメリカと,そうでない中国を同列視する,という立場です。 これでは,中国などに対しても説得力をもたず,今後の交渉を混乱させるだけです。 杉山発言はまた,2020年までの中期削減目標を来年まで示さないという政府の立場が,結局は対米追随の産物にすぎないことを示しています。 政府はこれまで,“削減目標は交渉の道具だから即座に示せない”と説明していました。しかし杉山氏は,アメリカが方針を固めなければ日本の方針も決められないことを率直に告白しました。 こんな姿勢で日本が温暖化問題で国際的指導性を発揮できるわけがありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 28, 2008 11:27:40 PM
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