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各地で,全国いっせい学力テストの市町村や学校ごとの結果公表の是非が,問題になっています。
大阪府,鳥取県などで公表されました。 公表をもとめる側は,情報公開の原則をあげます。これにたいし公表を拒む側の理由は,学校の序列化やテスト成績競争の激化などによる教育の荒廃です。 子どもについての施策の問題です。教育の荒廃を防ぐことを,何よりも優先することが当たり前のはずです。 実際,全国学力テストの弊害は目に余ります。テストに備えてのドリル中心の勉強が重視される一方,「分かった!」と子どもが目を輝かせる授業が減りました。 学習に遅れがちな子どもへの指導も手薄になりました。教員は管理職から「点数をあげろ」としめつけられ,創意ある授業ができません。平均点をあげるために不正に手を染める学校さえでました。 結果公表は,こうした成績競争の風潮をさらに広げます。行うべきではありません。 文部科学省の実施要領は,「序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮」,「都道府県教育委員会は,個々の市町村名・学校名を明らかにした公表は行わない」などと明記しています。 結果公表はこの実施要領に照らしても問題です。 公表の動きには2007年の大阪高裁判決が影響しているといわれます。同判決は,大阪・枚方市独自の市内いっせい学力テストについて,情報公開の優位を支持しました。 しかしその後の全国学力テストの弊害を見れば,判決の認識は不十分だったといわなければなりません。1976年の「全国学力テスト最高裁判決」は,競争激化を防ぐ観点から,全国学力テストを認める条件に「結果の非公開」をあげました。 比較すれば,この見解のほうに現実味があります。 全国学力テストの公式の目的は,全国的な学力の調査です。それなら数%の抽出調査で十分です。生徒個人の学習への指導も目的とされていますが,数ヶ月あとに返されるようなテストでは役にたちません。 要するに,全国学力テストは公式にかかげた目的のためには必要がなく,かつ,「こうなってはまずい」とした競争や公表だけがどんどん進んでいるのです。 こんなことに毎年数十億円使う金があるなら,教員数を増やし,子どもたちを少しでも丁寧に教えられるようにすべきです。 結果の公表を求めているのは財界です。日本経団連は「結果を学校ごとに速やかに公表する」ことを「重点的に講じるべき方策」のひとつに掲げています。 教育を点数至上の競争原理で染め上げて,安上がりに,従順な労働者をつくる教育にしようというのがその狙いです。 ノーベル賞を受賞した益川敏英氏は,昨今のテスト優先の教育を「教育汚染」と呼び,考えない子どもをつくっていると批判しました。 未来を担う子どもたちの前におとな社会が点数競争の道を敷きつめていいのか。 考え直す時にきています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 1, 2008 01:03:15 PM
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