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文化の日,芸術の秋。コンサートや演劇,映画館,美術館にお出かけになりましたか。すぐれた芸術作品は,国や時代の違いを超えて,私たちの心を深くとらえます。
芸術や文化は心豊かなくらしに欠かすことができません。それらをつくり楽しむことは人びとの権利であり,その条件を整えることは政治の責務です。 ところが,先月発表された内閣府「消費動向調査」によると,10月-12月期にコンサート,演劇,映画,美術館,博物館等への支出を「今より増やす予定」と回答した世帯は7.6%にとどまり,逆に「今より減らす予定」の世帯が14.3%に達しました。 差し引きでマイナス6.7ポイントという数字は過去10年間で最悪です。 2003年の内閣府の「文化に関する世論調査」では,1年間に「ホール等での文化芸術の直接鑑賞経験」があるかとの問いに「ない」と答えた人は48.8%でした。 国民の半数は,1年に一度も生の舞台を見たり,映画館に行ったりしたことがないという実情です。先の「消費動向調査」と重ねれば,今日その状況がいっそう厳しくなっているのは明らかです。 自民党・公明党連立政権の「構造改革」路線が雇用の悪化,社会保障の連続改悪などで国民のくらしを直撃し,貧困と格差の拡大にくわえ,金融危機に伴って不況が深まっていることが,その背景にあります。 こうして多くの国民が芸術・文化から遠ざけられているのです。 芸術団体や専門家のおかれている状況も深刻です。 麻生太郎首相は10月26日,東京の秋葉原で,漫画やアニメを例に「日本のもっているサブカルチャーの力」を誇り,「日本って国は意外と元気」と演説しました。 しかし,アニメの製作現場は極端に劣悪な労働条件におかれ,アニメーターを志す若者は「半年で半分,1年で70%が業界を去っていく」といわれています。 舞台芸術の実演家の収入も減る一方です。 さらに,民間劇場や映画館の閉鎖が相次ぎ,文化活動の基盤が脅かされています。 にもかかわらず自民党政治は,文化をうみだす専門家や芸術団体に冷たいままです。文化庁予算は今年度1,018億円にすぎず,アメリカ軍への「思いやり予算」2,501億円のたった40%です。 そのうち芸術・文化振興費は396億円で,トヨタ1社への研究開発減税779億円の半分です。 国家予算に占める文化関係予算の比率は,文化庁の調査でもフランスや韓国の約7分の1という水準です。地方自治体での文化予算の削減も深刻です。こういう政治を切りかえ,文化予算を抜本的に増やすことは急務です。 11月3日を「文化の日」と定めてから今年で60年。 祝日法はこの日を「自由と平和を愛し,文化をすすめる」日としています。文化の自由を圧殺し,他民族の文化をふみにじった戦前への反省がそこには込められています。 文化活動の自由を守り,国民が本当の意味で,芸術・文化をつくり楽しむ権利を確立する社会の実現は政治の責任でもあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 1, 2008 02:12:41 PM
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