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アメリカ大統領選挙は歴史的な結果となりました。圧勝した民主党のバラク・オバマ候補はアメリカ史上初めてのアフリカ系大統領となり,アメリカに根深い人種差別の解決に向けた一歩となります。
バラク・オバマ氏は地域での活動などを通じて国民との接点を持ち,選挙戦も広範な草の根の活動家に支えられました。 何より今回の選挙はアメリカ国民が8年間にわたるブッシュ政権の路線を拒否し,新しい政治を模索していることを明確に示しました。バラク・オバマ氏には,国民の期待に応えることが求められています。 イラクとアフガニスタンの2つの戦争は,戦場の国民だけでなくアメリカ国民にも多大な犠牲をもたらしながら,いまなお出口が見えません。 先制攻撃戦略という国際法と国際世論を踏みにじったブッシュ路線の破たんを象徴しています。 一方,市場原理を信奉し規制緩和を進める新自由主義の経済政策は金融をカジノ(賭博場)に変え,アメリカ発の金融危機となって世界を混乱に陥れています。 アメリカが世界を意のままに引き回す時代が過去のものになり,アメリカには新たな国際的枠組みにふさわしい政策が迫られています。 バラク・オバマ氏が掲げた「チェンジ(変革)」のスローガンは,新たな方向を求めるアメリカ国民の期待と重なり合って勝利をもたらしました。 選挙は世界的にも注目されました。 対話と外交を重視し,多国間協調の必要を指摘するバラク・オバマ氏に,一国覇権主義からの決別を期待してのものです。 イギリスBBC放送が10月に発表した世論調査では,バラク・オバマ氏が当選すれば対米関係が改善されるとして同氏の当選を望む声が,調査対象の22ヶ国すべてで多数を占めていました。 バラク・オバマ氏は選挙中,ブッシュ政権の政策を批判し,イラクからのアメリカ軍撤退や核兵器廃絶,金融規制の強化などを提起してきました。他方,アフガンでの戦争で勝利をめざす立場を鮮明にし,アメリカ軍を増派する構えです。 安全保障では「超党派」の政策をとるとし,共和党員を閣僚に迎える可能性も否定していません。 バラク・オバマ氏の勝利を決定づけたといわれる経済政策でも,従来の民主党の路線をどこまで変えられるのか? オバマ氏には選挙で支えた草の根の声を反映し,真の「変革」を進めることができるかが問われています。 進歩的な歴史家として著名なハワード・ジン氏は,アメリカの政治体制ではバラク・オバマ氏に投票する以外にないとしながら,「バラク・オバマ氏が自分を取り巻く伝統的な考え方や企業利益を拒否し,真の変革を求める幾百万人の国民に敬意を示す」よう求めています。 日本政府はこれまで「日米同盟」を最優先し,ブッシュ政権の政策を支持し,イラクやアフガニスタンへの戦争を支援してきました。経済政策でもアメリカ型の資本主義を信奉し,日本に持ち込もうとしてきました。 バラク・オバマ氏の勝利は,日本政府がとってきたそうしたアメリカ言いなりの政治が,いまや通用しなくなっていることをしめした点でも重大です。 日本も「日米同盟」に固執した対米関係を見直すべき時です。バラク・オバマ政権の誕生は,日本の課題も浮き彫りにしています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 1, 2008 09:03:27 PM
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