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戦前の日本の侵略戦争を肯定する懸賞論文に,航空自衛隊トップの田母神俊雄前航空幕僚長だけではなく,94人の現職航空自衛官が応募していました。
この事件から,実力組織である自衛隊と,戦前の侵略戦争美化を掲げた「靖国」派との危険な癒着の実態が垣間見えてきました。 懸賞論文を主催したアパグループの元谷外志雄代表は1971年,石川県小松市で起業し,ホテルチェーンを全国展開した人物です。 1999年10月,航空自衛隊小松基地との親睦を名目に,石川県内の経営者を集めて「小松基地金沢友の会」を結成。元谷外志雄氏が会長に就き,事務局はアパホテル金沢駅前店に設けられました。 「私が小松基地の司令をしていた当時,アパグループの元谷氏が『小松基地金沢友の会』の会長をしており,だいぶお世話になった」 田母神俊雄氏は11月3日の記者会見でこう明かしています。 同氏は1998年7月から1999年12月まで小松基地が拠点の第6航空団司令を務めており,両者の関係は約10年に及びます。 もう一つ見過ごしてはならないのは,元谷外志雄氏は「靖国」派の旗手とされた安倍晋三元首相の後援会「安晋会」の副会長を務めていたことです。2007年3月に田母神俊雄氏を航空幕僚長に任命したのは安倍内閣です。 元谷外志雄氏を媒介とし,実力組織である自衛隊を巻き込んだ,侵略戦争美化と,軍事力によるアジア再進出の狙いすら感じさせる「靖国」派のほの暗い人脈図が見えてきます。 元谷外志雄氏はアパグループが発行する月刊誌『アップルタウン』に藤誠治のペンネームでエッセーを寄稿。その内容は侵略戦争の全面美化,「自虐史観」,「東京裁判史観」の払拭,憲法改悪・国防軍の創設,日本核武装にまで至っています。 田母神俊雄氏の「論文」とほぼ重なる内容です。 さらに「友の会」事務局長の諸橋茂一氏は,「植民地支配と侵略」に反省を示した1995年の「村山談話」をめぐり,村山富市元首相と河野洋平衆議院議長を告訴した人物です。 アパホテルの懸賞論文にも「真の近現代史観」と題する論文を応募して入賞しています。 同会顧問には自民党の馳浩衆議院議員も名を連ねています。 「友の会」は毎年,基地見学や幹部との交流を繰り返し,浸透を図ってきました。侵略戦争美化を推進する「靖国」派知識人の講演会も開催し,組織を拡大。同会によると,当初は87人だった会員は238八人に増えています。 「友の会」は,親睦団体を装った「靖国」派地方組織といえる実態を持っています。 今回,懸賞論文に応募した自衛官94人のうち大半が小松基地所属だったのは偶然ではありません。旧軍の歴史観・国家観をひきずっている自衛隊と,「靖国」派との危険な共鳴の結果ともいえます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 2, 2008 12:32:04 AM
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