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機械的な「歳出削減」路線を続けるのか,それとも一時凍結するのか。 「2009年度政府予算編成の基本方針」の決定をめぐって,政府・与党内は大揺れとなりました。 なかでも大問題となったのは,小泉純一郎首相時代の自民党・公明党連立政権が決めた「社会保障費の自然増分を毎年2,200億円削減する」路線を続行することの是非でした。 「骨太方針」で同路線を確認した2002年以降の7年間の社会保障費削減によって,医療や介護などに最低限必要な予算すら確保されず,各地で「医療崩壊」,「介護難民」などの悲惨な事態が作り出されました。 日本医師会など医療団体など多くの国民から,削減方針の撤廃要求が出されていたにもかかわらず,政府は,11月末の経済財政諮問会議でも,2009年度の予算編成で削減路線を「堅持する」案の了承をしていました。 ところが「予算編成の基本方針」の閣議決定を翌日に控えた12月2日になって,自民党内から,いっきに異論が噴出します。 首相を支える立場であるはずの細田博之幹事長が「骨太方針を変えて,向こう3年間は景気回復にあてるべきだ」と政府方針の凍結を公言。最高決定機関の総務会として凍結を求める異例の事態となったのでした。 背景にあるのは,「このままでは選挙がたたかえない」という強い危機感です。各種世論調査では,麻生内閣の支持率は急落です。 12月1日の「日経」では10月調査と比べて17ポイントも低下する31%。党内にショックが広がりました。 しかし,社会保障費の削減路線は小泉「構造改革」路線のシンボル的な存在です。 小泉政権以降の歴代政権は「構造改革路線の継承」を掲げてきただけに,「改革」の旗を降ろすわけにもいかず,かといって選挙を目前に雇用や社会保障での国民の切実な声も無視できないというジレンマを抱えています。 路線変更は,党内対立を招くという指摘もあります。 こうしたなかで,凍結を求める動きはトーンダウン。麻生首相は12月2日,削減路線を「堅持する」と明言しました。ただ,12月3日閣議決定された「予算編成の基本方針」では「堅持する」との表現を「維持しつつ」に修正したうえ,「(財政出動を)状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行う」と書き込みました。 削減路線をそのままにして,別枠で雇用対策などを財源で手当するという姑息な手法です。 「2,200億円の削減」については,たばこ税増税による財源を社会保障費の削減幅の縮小にあてる方向が検討されています。 政権の政策の中心である「予算編成の基本方針」をめぐって,政府・政権党が右往左往すること自体,麻生政権が末期的な段階になっていることを露呈しています。 2,200億円削減路線は,2008年度予算でもすでに破たんしています。 当初,国の予算を1,000億円削減した分を大企業のサラリーマンが加入する健康保険組合などに肩代わり負担させる方針でしたが,この法案は成立が困難な状況になっているためです。 行き詰まっている抑制路線に固執し続けることに,まったく道理はありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 28, 2009 08:41:52 PM
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