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参議院財政金融委員会で可決された新金融機能強化法修正案は,10兆円規模の公的資金を金融機関に投入し,最終損失は国民の税金で穴埋めするものです。
深刻な景気悪化で国民が塗炭の苦しみに見舞われるなか,バクチのような投機に明け暮れた金融機関の救済を最優先で行うことに一片の道理もありません。 年の瀬に向けて実体経済は,急速に悪化しています。 「派遣切り」などで失業する非正規労働者は,厚生労働省の調査でさえ30,000人を超え,大企業の正社員の解雇も急激に広がっています。また民間調査機関の東京商工リサーチが12月8日に発表した全国企業倒産状況では,今年の上場企業倒産は戦後最多を更新しました。 今ほど,政治の姿勢と責任が厳しく問われる時はありません。 ところが,麻生太郎首相は「貸し渋り,貸しはがしが雇用の問題につながっていく。早急に金融強化法案を成立させていただきたい」(12月5日の衆議院予算委)と述べ,何よりも金融機関の救済に固執しました。 一方,民主党も「郵政民営化凍結法案とセットでないと採決に応じられない」と実質審議を回避し,政局をめぐる駆け引きの道具にしてきました。 そのため参議院での実質審議はわずか16時間余。 悪化する中小企業の資金繰りをめぐる議論もほとんど行われませんでした。民主党のこうした態度の背景には,同党が公的資金投入に異論はなく,大本で法案に賛成していることがあります。 鳩山由紀夫幹事長は「(金融強化法案の)改正案自体は必要だと考えている。採決をいたずらに引き延ばすつもりはない」(NHK,11月30日)と公言しました。 不動産などの投機にのめりこんだ金融機関の責任を厳しく問うどころか,投機的運用で生まれた巨額の損失のツケを国民の税金で救済する道理はありません。 とくに,農林中央金庫は総資産61兆円のうち,リスクの高い有価証券などの資産運用が60%を占めたため,多額の損失を出しています。 また,公的資金の投入が「資産運用で失敗しても,損失は税金で救ってくれる」という金融機関の体質をつくり,さらに投機にのめりこませることになります。 また銀行業界が,この12年間で84兆円も中小企業への貸し出しを減少させており,公的資金の投入を受けた金融機関が中小企業貸し出しを増やしていないことを浮き彫りになっています。 麻生首相が「中小企業の資金繰りも12月,1月に窮することはない」(11月27日)などと楽観論をふりまいている間にも,中小企業の資金繰りは悪化の一途をたどっています。 東京商工リサーチ調査では,企業倒産の原因で「運転資金の欠乏」(前年同月比37.2%増)が著しく増加しています。 政府が「中小企業融資の円滑化」を本気でいうのであれば,金融機関への指導の抜本的強化や,中小企業への信用保証を部分保証から100%保証に戻すなど,実効ある対策が何よりも不可欠です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 1, 2009 12:08:28 AM
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