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■ 古今和歌集に現れた新たな自然
和歌の本流は自然に対する過剰な移入のあまり、感情を放棄するほどの自然移入へと至っている。自然の景物に自然を深くえぐろうとするあまり、日常の感性から離れ、「高情」という特別な情感表現を中心に据える価値観へと歌心が変化していった。現実と離れ、ラジカルな歌の精神世界が新たに形成されたともいえる。 歌の成立期には、自然を心の一部として考え、心を直接には表現できず、目に触れる自然の手応えのような物が自分の心として納得できたときに、歌謡として表現できた。 それが万葉末期頃には心と向き合うことが出来るようになり、古今集の時期には表現された和歌との心の対峙から、自然が一人歩きはし始め、和歌に現れた表現された自然が、心を写すための手段として使われだしたと言える。時代により、心のふくらみは進化をとげ、それが文学の領域に変化をもたらしたことが読みとれる。上の句と下の句の違和感が表現技術の巧みさへと移り出すとき、和歌の難解さと表現技法は進化する。しかし、自然を心の一部となしえた万葉のころの心を最早取り戻すことはできなくなったとも言える。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年04月28日 17時25分42秒
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