作家の部屋　「ダルタニウスの苦悩」

　久間・防衛大臣は、 麗澤大学で、「我が国の防衛について」と題した講演を行いまし　た。その中で次のような発言をしたので辞任。
　「アメリカはソ連に参戦してほしくなかった。日本との戦争に勝つのは
分かっているのに日本はしぶとい。しぶといとソ連が出てくる可能性がある。
日本が負けると分かっているのに、あえて原爆を広島と長崎に落とし、
終戦になった。長崎に落とすことによって、ここまでやったら日本も
降参するだろうと。そうすればソ連の参戦を止めることが出来ると（原爆投下を）
やった。幸いに北海道が占領されずに済んだが、間違うと北海道がソ連に
取られてしまった。その当時の日本なら取られても何もする方法がない。
長崎に落とされ、悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという
頭の整理で、しょうがないと思っている」

この発言はなぜ、間違っているのか。第二次世帯大戦自体が間違っていたが、原爆という大量殺戮兵器を人類史上初めて米国が使用し、日本国民らを一気に数十万人をも殺し、いまだにその被害をおわせ続けている最悪の行為であり、世界が大反省をすべききっかけになった。戦争は悲惨だが、その象徴になり、二度と戦争を起こしてはならないと、平和を希求する原点になっている。その平和憲法を世界に宣言し、世界平和をリーダーとして訴え、求める重要な日本の立場にあるにも拘わらず、政府の動きは憲法を改正し、防衛庁を防衛省に格上げし、自衛隊を軍隊化するとともに核装備までしようと考えている国の裏話が、おもわず口をついて出てしまった失言だ。
これは、米国の強国の論理で、核使用を当時の状況から正当化する。実は、時代状況によっては核兵器の使用は仕方ない。それはあり得ることだと監視用すらも肯定する論理が、通底している。そこを見抜けないとただの感情的な反発で終わりかねない。彼、もしくは自民党及び自衛隊はすでに、そこまで考えているということだ。
その論理で、彼を糾弾しておかないと種火が消えることはない。