|
カテゴリ:政治
サブプライム問題
2月27~28日の世界同時株安。当初、要因は「上海の株価急落」とされ、次いで「米国の景気失速懸念」へと移った。最後には「日銀の利上げ」が犯人扱いされる日がやって来ようが、現在は「米国のサブプライム住宅ローン」が問題視されている。 サブプライム問題の本質は二つあろう。2003年後半から2005年にかけて、米国では好景気と銀行間の競争激化により、与信基準が大きく低下。一大住宅ブームが沸き起こった。問題は、この時、全く異なる二つのバブルが生じたとみられることである。 (1) 文字通りのサブプライム層(信用履歴の低い借り手)、つまり、所得が少 な い、もしくは返済を遅延したことのある層に、過度に貸し込んでしまったことである。 米国では従来から、信用履歴が低くても高い金利さえ支払えば、ローンを組むことが出 来た。それがバブル化したのは、金融機関がリスクの大きい住宅ローンを推進したため である。変動金利だが、当初数年間は低い固定金利が適用されることが多い。 [1]インタレスト・オンリーで、当初は金利のみ支払い、数年後に元本の返済が始まる。 そして両者の組み合わせ。 [2]ネガティブ・アモチゼーション。当初、金利さえも支払わない。ただし、金利がかか らない訳ではなく、その間は金利分だけ元本が増えていく。こうしたローンの多くは3 年程度経つと返済額が急激に膨らむ仕組みとなっている。 今はブーム初期の2003年後半に住宅を購入した人に、跳ね上がる返済額に対処でき ないケースが出始める時期なのである。その意味では、住宅市場がピークをつけた2005 年から3年後の2008年まで、問題は悪化し続ける可能性が高い。 (2)あまり騒がれていない話だが、実は2006年に借り入れたサブプラ イムローン でも延滞率が上昇している。未だ3年経ってないのに、何が起こっているの か。ここ に、もう一つのバブルがある。 リゾート地の住宅価格は、ここ数年跳ね上がってきたが、コンドミニアムを完工前に 転 売する、現地も見ずにインターネットで売買するなどのケースが目立った。こうな ると、完全にマネーゲーム。信用履歴も低くない層が「審査が甘くて早い」という理 由で、サブプライムローンを利用していたのである。しかし、リゾート・バブルが破 裂。こうした地域の住宅価格が急落したため、最後にローンの借り手が住宅を売るに 売れず、返済できなくなっているのである。 結局、サブプライム問題は、低所得層の多い地域と高級リゾートという両極で発生。 折しも、米国では今年から民主党が上下両院を制し、同問題で共和党政権を糾弾すると ともに弱者支援を訴えている。しかし、本当のサブプライム層と、金の亡者と化したサ ブプライムローン利用者の区分けは難しく、一筋縄では解決できない問題と言えよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[政治] カテゴリの最新記事
|