仏教以後、中国の儒教思想が日本に大きな影響を与えた。模倣の歴史といえる日本にとってその担い手である儒学者としては、有名な荻生徂徠が徳川幕府の支配思想を担い、新井白石が政治性を強めていった。近代では吉田松陰、頼山陽も影響力を持った。こうして儒教は政策思想や生活倫理までかなり牛耳っていたといえる。もちろん、本居宣長を代表とする国学者達が、日本の神話や古典を独自の体系化で考察した。こうして、尊皇攘夷思想が明治維新革命を実践し、維新以後、近代でも国学と儒教が大きな影響力を持っていた。その封建制社会の要の思想として、我が国の近代社会までを席巻していた儒教も、第二次大戦終結後、日本が再び欧米化され、この儒教思想の影響が薄れてきた。そのこと自体は、良いことだと思っている。中国、韓国などは依然としてその儒教思想が強いため、一歩彼らの社会に踏み込むととまどいを持つかもしれない。
ただ、現代は、はたして何の思想が私たちを捉えているだろうか。また、どこかの国の思想を引っ張り、あるいは借りてきて模倣することで思想形成するのか。独自の思想を生み出す構成力が果たしてあるのか。民衆を正しい方向に導ける思想とは。まさに「幻想」、「大衆の原像」、「非知」の思想ではなかろうか。
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