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カテゴリ:最近観た展覧会
時間も体力もあったので、石川県立歴史博物館で開催されている小原古邨展へ。 この展覧会は、まん延防止等重点措置の適用期間中も開催されていたので、 もっと早くに観に行ってもよかったのですがやはり気が進まず、 身近な自然が見せる一瞬の美をとらえた作品は、制作当時から海外で高い人気を誇り、近年国内でも注目を集めています。 明治10年に誕生した古邨は、花鳥画の名手・鈴木華邨(1860~1919)に師事。 アーネスト・フェノロサの指導を受け、明治後期には版元・松木平吉のもとで花鳥版画を手掛けました。 古邨の優れた表現力と、江戸時代以来培われた彫師・摺師の高度な浮世絵版画技術。 それらが融合して生み出された繊細な作品は、多くが欧米にわたり現地の人々に愛されました。 そして大正末期頃からは、祥邨の号を用い、新版画の提唱者・渡邊庄三郎のもとで、作品を発表するようになります。 華やかな彩色とモダンな画面構成が印象的な作品は、同時代のアメリカやポーランドなどでも展示され、大きな反響を呼びました。 本展では、浮世絵蒐集家・原安三郎のコレクションにかかる明治期の作品に加え、 ご子孫が大切に保管されてきた大正・昭和期の作品もよりすぐり、その画業の全貌を紹介します。 あわせて、近代金沢の美術工芸品や師・華邨の作品から古邨のルーツを探るとともに、 当時の美術動向を伝える豊富な資料を読みとき、古邨作品の海外受容の裏側に迫ります。 【第1章】生きとし生けるものへ 古邨時代 第1章では、原安三郎コレクションから、松木平吉と秋山武右衛門より出版された古邨落款の花鳥版画を紹介します。 花や木々、そこに集う生きものたちを見つめた古邨のまなざし。 あらゆる気象状況のもとにとらえた生命の輝きを、めぐりゆく季節とともにご堪能ください。 【第2章】日々の暮らしのなかへ 祥邨・豊邨時代 第2章では、渡邊庄三郎による祥邨と酒井庄吉・川口商会による豊邨の作品を紹介します。 明るく鮮やかな色彩はこれまでの古邨とはまるで別人の趣をみせています。 簡潔な描線と平明な色彩による表現、その変化と洗練された装飾性にご注目ください。 【第3章】古邨を育んだふるさと 第3章では、幼い古邨が画家という夢を育み、海外に向けた仕事を意識するに至った背景を探るべく、 近代石川の美術工芸品や師・鈴木華邨(1860‐1919)の作品を取り上げます。 故郷・金沢とのつながりや、師弟関係のありようなど、未だ知られざる古邨のルーツに迫ります。 【第4章】海をこえて 欧米をめぐる古邨の花鳥風月 第4章では、古邨の花鳥版画が本格的に米国で紹介された1900年からと、祥邨と名を改めて新版画の制作を開始した1926年以降の動きを取り上げます。 1900年の活動はこれまでほとんど知られていませんでしたが、 新版画が米国で紹介される20年以上も前から、すでにグローバルな展開が始まっていたことが古邨の作品をとおして明らかになりつつあります。
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最終更新日
2021年06月29日 12時53分07秒
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