無縁社会
年末に高校時代の友人から携帯メールをもらった。子供を産む前は頻繁に会ってた友人で、といってもちょっとめんどくさい感情もあってか、簡単に単純になかよしなんては言えない存在かな。彼女は負けん気が強くて、私には絶対負けたくはないって思っていたと思うんだ。 その彼女からあの時の仲間に会いたいと、私を含めて連絡が廻って来た。最近長く勤め上げた上場企業を早期退職して、すぐに転職先も決まったものの、その新転地が性に合わなくて毎日つらいという話。それでみんなに会いたいと。 私を含めて、みなバブル経験者で、日本経済絶好調の平成元年前後に入社している。私は総合職入社で、一般職入社で後に総合職になった者もいる。今から20年以上も前ことだけど…。この仲間のうち私ともう二人は結婚して子供をもうけた。専業主婦は私だけ。残りは独身。みんな揃って今年47歳。全然若くない。 携帯メールをくれた友人はこんな事をメールに書いていた。「私は人生をどこか間違ったような気がする。」。結婚して、晩産だったけど二人の母になった私は、彼女流に言うと間違わなかったらしいニュアンス。私に対してこんな弱音、調子よかったら絶対見せない人だよなぁ、なんて思った。よっぽど何かが堪えているんだろうなぁ。 去年NHK特集で「無縁社会」っつうのをやっていた。孤独死、自殺、派遣村、それも解雇、離婚、死別そういったことがきっかけで、人と人、人と地域、人と社会、そういった縁がどんどん切れてしまう。NHKは今の社会をそういう風に見ているらしい。 私達世代の20年をざっと振り返って見ると、三高、DINKS,不倫、×1、(離婚のこと)キャリアウーマン、今のNHK的無縁社会のプロパガンダが、こういったことの中にあったような気がする。私はこのプロパガンダに乗っかりながら、ある時この列車を降りた。そして子供を産み、普通の母ちゃんとして地元に根差し、自分の足元で生きている。別に何も誉められるような事のない、ごくごく普通の当たり前の日常なんだけどね。 友人の人生の間違いは、このプロパガンダに乗っかっていったことのように思う。長く働いた会社を去り、新しい職、新しい場所、新しい人、ここに縁を築いていくのは容易ならざることだろう。そして会社を終えて帰宅すると自分で買ったとはいえ、一人暮らしの一人だけの部屋。休みの日に近所を歩いても、挨拶を交わすような人も居ない。忙しく、絶好調の時には気が付かなかった現実を目の当たりにしたのかもしれない。とにかく、私に会いたいなんて言うこと自体、友人は相当参っていると想像するよ。