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2008.04.21
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吉越浩一郎

彼が来るまでの、トリンプは、空気の読めないダメ外資企業だった。

年商も30億円にも満たない会社だった。

ヨーロッパでは100年以上の歴史を有する名門企業であったが、

日本での知名度は、当時の営業社員の言葉を借りれば、

”ワコールのトリンプですか?”と言われたそうだ。

吉越さんは、日本法人の5人目の社長になる。

それまでは、有名な大企業からへッドハンティングされた社長が来ては、去っていくの

繰り返しだった。

彼は、トリンプで18年連続増収増益を実現した。

本社のスタッフ数はほとんど増やさないで、売り上げを5倍にあげた。

本を読んでみて思った。経営手法は、きわめて”ふつう”。

以前、日記に”遊んでいるような気持ちで仕事をしているやつにはかなわない”と

書いたが、まさに彼は、重い仕事を遊び感覚を取り入れて、かるくしてしまっている。

また、”気持ち”を大切にする経営者でもある。

あるエピソードを紹介したい。

直営店、教育課長の松ヶ谷さんの話。

吉越社長が就任して間もない頃の直営店はかなり荒れていた。

サングラスをかけてレジを打っていたり、帽子をかぶったまま、

接客をしている人もいた。

当初、教育担当だった松ヶ谷さんは、熱心に指導するのですが、

現場からは”監視されているようでヤダ”という反発が激しかった。

本社の廊下で、松ヶ谷さんは社長とすれ違ったそうです。

その時、社長から、

”どう、直営店は、言うことを聞くようになった”と聞かれたそうです。

松ヶ谷さんは、

”この前もこんなことがあって、頭にきちゃう!”と言ったそうです。

すると吉越社長

”松ヶ谷さん、100人が100人みんな言うことを聞いたらつまんないでしょ。

 そういう子を直してゆくのが、またやりがいじゃない”と言われたそうだ。

正直、”まだ出来ないの、早く徹底してよ”と怒られると思っていたので、

いっぺんに”吉越さん、大好き!”となってしまったそうだ。そして、

”ああ、わかってくれているんだ。もっとがんばろう”という気持ちになったそうです。

またある時、

直営店で、吉越さんと会った時、

吉越さんは、直営店の社員に、

”松ヶ谷さんってコワイだろ、また怒られちゃった?”って声をかけてるんですよ。

そして、

”本当はやさしい人なんだよ。でもね、やらなきゃならない立場の人だから。

 わかってあげてね”と言っていたそうです。

松ヶ谷さんは言う。

普段は怒られてばかりで”なんでそんなこというんですか!”って悔しくなる気持ちが、

99%あっても、こういう優しい1%があるから、吉越さんについていこうと

思っちゃうんでしょうね。”

読み終えて、思った。

阪神タイガースを常勝軍団に変えた、星野監督に似ていると。











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Last updated  2008.04.21 06:09:22
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