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2008.06.12
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松野宗純さんのことだ。

彼は、サラリーマンとしては、いい感じのゴールを迎えた後、出家してしまう。

黒塗りの車で送迎されていた男が、一転して、雨の日の托鉢に行くことになった。

松野住職は言う。

”梅雨の頃は、カッパの中が汗で不快きわまりない。冬は寒さが身にしみる。”

雨の日の托鉢にも三つの選択肢があるという。

1、雨だから理由をつけて行くのをやめよう。


2、みんなが行くから仕方なくついていこう。


3、どうせ、行くなら雨でも頑張っていこう。

消極的な姿勢で托鉢に出ると、早く終わらないかとばかり思ってつらい一日になる。

ところが、積極的な気持ちで托鉢に行くと”いやだ””つらい”と思っていた以前の

托鉢とは、まったく違ったものが見えてくるという。

雨に打たれた緑が、感動的なほど生き生きとして美しいこと。

おばあさんの”ご苦労さん”というねぎらいの言葉が、晴れの日と違って、

我が身に、ズンと響くこと。

そして、終わった後に読む般若心境にも感動がある。

雨の日の托鉢の感動と厳しさは、晴天の日の托鉢を何万回やろうとも味わえないという。


黒塗りの送迎から、托鉢へ。。。という話はあんがい聞いたことがある。

しかし、托鉢から、黒塗りの送迎へ。。。という話はあまり聞かない。

と言うことは、黒塗りの送迎より、托鉢の方が贅沢な生き方ということになってしまう。

柳生石舟斎が剣の道を究めたら、剣を持たなくなってしまったことと何か似ている。





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Last updated  2008.06.13 00:20:47
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