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カテゴリ:ピーター・F・ドラッカー
わたしは、 今、企画と、営業の仕事をしております。 このふたつの仕事、 正直あまり好きではありません。 では、なにが好きかというと、 一番好きな仕事は製造です。 ”ものづくり”です。 わたしは高校生の頃、 ソーセージ作りに、はまっておりました。 日本一美味しいソーセージを作ろうとがんばっておりました。 お金を貯めて、 夏休み、 長野県の軽井沢にソーセージの勉強に行ったくらい、 ソーセージ作りが大好きでした。 たぶん、前世はドイツ人でしょう(笑) わたしは、 ソーセージを作っていて、一つの疑問にぶつかりました。 わたしのつくった、ソーセージはあきらかに、 スーパーマーケットでよく売られている、 日本一大きなソーセージを作っている会社のものより、 美味しいソーセージでした。 もっとも。。。 私の作るソーセージは、 原価計算などしておりませんでした。 ソーセージの原材料などは、 考えられる最高のものを使用しておりました。 ですから、 つくるソーセージは美味いに決まっているのです。。。 わたしは子供ごころに。。。こう思いました。 ”なんで日本ハムや、伊藤ハム、プリマハムなどは、 巨大な会社なのに、 優秀な人材がたくさんいるのに、 高い技術力をもっているのに、 豊富な資金力があるのに。。。 どうして、 日本一美味しいソーセージを作ろうとしないのだろう???”という 子供らしい素朴な疑問でした。 そんな時でした。 わたしは本屋さんで、ドラッカーの本に出会いました。 そして疑問は解決しました。 人生の中で、 高い給料をもらい、 休みの日にはヨーロッパ旅行に行こう、などと考えると、 日本一美味しいソーセージを作っていたのでは、 高い給料と長期の休みは不可能だということがわかったのでした。 子供ごころにショックでした(泣) 高い給料をもらおうとしている優秀な人材を引き止めておくためには、 安い商品を売らなければならないというリアルな現実を突きつけられ、 ショックでした。 ドラッカーは、 過去、 優れた技術力がありながら倒産していった企業を、 するどく分析しております。 その中で、おもしろかったのが。。。(不謹慎ですが) アメリカのコピー機や、ファックスを発明した企業が倒産するまでの話でした。 アメリカで、 コピー機やファックス機が発明された時、 これは世紀の大発明だ!と言われ、飛ぶように売れたそうです。 そのため、メーカーは限度いっぱいの最高小売価格を設定したそうです。 さらに、メーカーは様々な いたれりつくせりの親切機能を追加して、 ますます小売価格を引き上げ、利益幅を拡大していったそうです。 社員の給料も、どんどん上昇し、豊かな生活が出来るようになっていったそうです。 そんな時、 戦争に負けて貧しかったはずの。。。日本という国が、 社員に安い給料と過酷な長時間労働(残業手当なし、有給休暇なし)を強制し、 ウルトラ安い人件費を使って、 単純な機能だけにしぼりこんだ稚拙なコピー機やファクシミリ機を発売してきました。 当初、 アメリカ企業は裕福で、 日本のモノマネに過敏に対応することはありませんでした。 アメリカ企業は、日本企業にやさしかった。 熱心に遠くから工場見学にきて、 メモと写真を撮る努力家の日本人に対して、 おしげもなくコーヒーを提供し、 ノウハウをよろこんで提供しておりました。 やがて、 あるとき、 ビックバンが起こります。 世界中の消費者の大半は、 じつは、 ”単純な機能”だけで十分だったんです。 安くてシンプルなコピー機やファクシミリ機は、 付加価値のある高価格コピー機を世の中から消し去ってしまいました。 わたしが、 以前、 アメリカに行って一番驚いたことは、 アメリカの友人の家に行った時です。 なんと、 テレビも、冷蔵庫も、洗濯機も、電子レンジも、すべて日本製だったんです。 もともと。。。 アメリカで発明されたものなのに。。。 さらに驚いたことは、 アメリカの友人は、 ソニーという会社は、アメリカ企業だと思っておりました。 。。。。。。。。。 わたしは、 日本の会社は、ほんとうにすごいと思いました。 やがて、 時は流れて、 ベンチャー企業だったソニーも大企業となりました。 そして、昨年、 ソニーは、 超超薄型テレビを発売し、ほとんど売れずに大きな損失を計上してしまいました。 歴史は繰り返されるといいますが、 ほんとうにテレビドラマの再放送を見ている思いです。 わたしは東日本で生まれ育ちました。 ですので、 納豆が大好きなんです! わたしは納豆を買う時に納豆の値段は見ません。 原材料と製法を見て、納豆を買います。 たとえば、北海道産大粒大豆を使用し、石室で熟成された平家納豆とか。。。 地元、山形にも、 おいしい納豆を作っている会社があります。 しかし、 その納豆メーカーの社長さんは。。。こう話しておりました。 ”わたしの代で、会社はたたむよ。” わたしが、 ”美味しい納豆がこの世の中からなくなるのは悲劇です。”と話をすると。。。 社長さんはいいました。 ”お客さんは、まず納豆を買うとき、 最初に価格から見るんだよ。” 原材料の大豆が、国産か、外国産かではなく、 3個入りで100円という価格が重要なんだよ。” どんなに味のよい地元産の有機栽培大豆を使った納豆でも、 3個で200円もしたら、地元ではほとんど売れないんだ。 百貨店のイベントか、 東京の高級食料品店あたりでしか、そんな納豆は売れないんだ。 わたしは、値段で勝負する納豆の作り方を知らないんだよ(笑)” いま、 テレビに登場し、 跋扈(ばっこ)している政治家も、 日本中の駅前の無機質な風景も、 選んでいるのは。。。 源流をたどれば。。。 私の場合、 こういう現実を知りながら、 あえて、 逆流を選びました。(笑) むかし、 実家にいる母親にいわれました。 ”なんで、 お前、 縁もゆかりもない東北に住んでいるんだ?” わたしは答えました。 ”バフェットさんも、 ニューヨークではなく、オマハにすんでいるんだよ。” すると、そこで、 母親との会話は途切れました。(笑) じつに、おもしろい世の中です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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