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テーマ:小説(6)
カテゴリ:小説
キョウコはお酒は弱いほうではなかった。
ただ、独りで酔いつぶれるのは寂しい女だと、知らぬ間に飲み方を覚えていただけなのかもしれない。 酔うと沈み込んだり、気が大きくなりやけに陽気に振るまる友人の姿をみて、彼女たちが酔っているのではなく、自分が現実をみようとしていない事実を垣間見た気がしていた。 周りは、キョウコの様相やハデヤカな容姿を、そのまま受け取っていたが、実際のキョウコは、その見方とは正反対の生真面目さがあった。 「キョウコは順風満帆、幸せだから・・・」 辛苦など無縁だと影で言われていたことを、キョウコは知っている。 悲しかったが、私には関係ない、誰も私という人間を知らないからいえる台詞だと流していた。 「苦労知らず・・・」 他人に言われるたびに、キョウコは密かに安心した。 自分が、人の目には幸せにみえるのだと、わかったから。 今までの人生は精算できた、と過去は過去と過ぎ去ったように思えた。 お酒は人を酔わす。人生も酔わす。 でも、一番酔いたいのは、「貴方」 クールな装いとは裏腹にキョウコは、ひそかに恋焦がれていた。 静かに流れるジャズのリズムに乗りながら、バーテンのシェイクする音が漂っていた。 女性占い相談 女性占い師 今日の占い silent room house E-mailは こちらへr.s.happy55@gmail.com 英語はこちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年08月17日 05時05分38秒
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