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テーマ:小説(6)
カテゴリ:小説
失った時間は戻らない。あの人も。気持ちも。
悲しいほど好きだったのは、遠い思い出。 永遠はないと知っていながら、あの人といる時間、私に向けた言葉全て変わらないと思っていた。でも、その言葉は、あの人が口にした途端過ぎていってしまった。あの人は、知っていた。その時に生きた言葉に過ぎないと。 「あなたがいるから頑張れる・・・」 あの時の私は確かにそうだった。つらい仕事だって、人から何を言われようと平気だった。 「そういうのは重いんだよね」 さっきまでの笑顔がため息にかわった、あの人の横顔を見るのは言葉以上に辛かった。 あの人を妻子から奪おうなんて思っていなかったし、一緒に居られるだけで充分だったから。気持ちは同じだと思っていた自分が滑稽に感じたが、幸せだった。 あの人は、私の声が好きで、歌っている私に恋を錯覚していたのかもしれない。うたかたのように恋は消え、夜の街は熱情も欲望の全て空虚なまでに呑み込んでいた。 いつの日だろう、愛することを私は諦めてしまったのは。 気付けば、私の心は凍てついていた。冬の寒さのように。彷徨っていて、何をしても何をみても、自分を誤魔化して生きてきた。頼りない恋を愛と歌っていた自分がいたのかもしれない。 きっと幻。 三度目の春は全てを飛び越えて私に暖かさを運んできてくれた。 そう、貴方と出逢ったから。 女性占い相談 女性占い師 今日の占い silent room house E-mailは こちらへr.s.happy55@gmail.com 英語はこちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年08月17日 05時05分06秒
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