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カテゴリ:小説・コミックなど
書店に置いてあったのがなぜか気になり、一気読み。再販数を見ると、売れている本らしい。
タイトルにはカネの話とあるが、私が受けた印象はカネではない。むしろ、就職観とか人生のプライオリティのつけ方とか、自分を大切にしながら社会と対峙していくにはどういう観点で臨んでいけばいいのか?とか、そういう事がおカネを絡めつつ書かれているように思う。この際に今までの作者の人生経験が赤裸々に綴られており、アウトラインだけは知ってはいたものの衝撃を受ける。あの「ぼくんち」の世界は、実際に彼女が見た状況だとキツすぎるから…あれでもポジティブにデフォルメして書いたものだというのにも驚いた。貧困と暴力がワンセットだということ。貧困は次世代に連鎖すること。そこから抜け出すには、自分の力でいかにお金を稼ぐことができるかを見極めなくてはならないのである。あの叙情性の中に、この徹底したリアリストっぷりが潜んでいるあたりも、サイバラファンが多い理由なのだろうなぁ。 徹頭徹尾、「ホントの言葉」ばかりが踊っているので、これは大人の嘘やごまかしや格好つけに敏感な若い子(中高生くらい)にぜひ読んでほしいなぁと思ってしまった。自分に何が合う仕事なのかが判らなくて悩んでるとか言ってる大学生達にも。多分、この内容ならまっすぐにメッセージが伝わるはずだ。 西原さんは、エロスの巨匠が大好きな漫画家でもある。「無頼派」と「叙情派」に大別される彼女の作品は、マンガでは読んでいたけどこういうエッセイは初めてだ。最後に、亡き元夫、鴨志田さんとのアル中との闘いの日々についても述懐されていて、その内容にも涙した。どうして彼と巡り会い、生きて行くことになったのか。その過程や彼の死の意味についても著者がきちんと重さを受け止めていることに感銘を受けつつ、切なくなった。 人生、無駄なことは無し。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009年04月18日 11時25分30秒
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