ｒｉｒｉｃａｌ　ｗｏｒｌｄ

　新作は「ST0RY」の連載を単行本化したもの。
　42歳の独身女子アナが主人公で、揺れ惑う40代を描いた作品。
　面白くて一気に読んだ！
　林作品は、本当に背景とかのディティールがリアル感があって細かいと思う。
　これはぜひぜひ、バブルを体験した40代前半の方々に読んでほしいなぁ。
　女性のいやらしさや本音を書かせれば天下一品の林M理子なので、今回もそういう面は健在。
　だが、この作品のヒロインの美貴子は、脆い面もあるものの、基本的に賢いと思う。
　自分で決めた落とし前を引き受ける姿勢が潔くて、個人的には好感度大。
　ええと。よく使う言葉だと「超・男前」な女子だ。
　そんな彼女が結婚を決めた経緯を話していて、「女は愛されてなんぼ、求められてなんぼよ！」と絶叫するのは非常に胸に沁みた。
　40代とはいえ、若くて美しくて有能な女子アナですらそうなんだからなー。
　そりゃ～一般人、胸も痛むってもんだわ。

※ところで、美貴子が結婚することになるご主人はもちろん法則ハズ。
　そんなところもセオリーが貫かれていて興味深い

　凛々しいヒロインと比して、ぐっだぐっだで、安っぽいロマンチシズムに酔いしれてる兼一くんは…
　典型的な弱い男だ！！
　関わる女をことごとく不幸にしとるのう。
　そういう設定だけあって、この人の奥さんの多恵というのが、「女のダークサイド」を一手に担ってる感があるかも。男が吐かれたら、裸足で逃げ出すような怖い台詞てんこもり。
　
　多分、兼一は太宰みたいに、女性がほっとけなくなるタイプの男性なんだろうけど…
　やっぱり、優しさには厳しさとか強さの裏打ちが必要だな。

　最後の最後で美貴子が巻き込まれなくてほっとしたよ