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カテゴリ:日常の出来事
東京都心から片道2時間近く。親戚中で一番私を可愛がってくれた、大好きな祖母と久々に会う。
母方の祖母は1999年頃まで札幌に住んでいて、初孫だった私は生まれてこの方、ほぼ毎年祖父母の家に遊びに行っていた。大学に進学してからずっとお世話になっていて、小さい頃から知っている祖母の暖かさにずいぶん助けられてきたように思う。就職した後も、年に5~6度は訪れていただろうか。私とは、祖母と孫というよりは、気の合う女同士というスタンスで、いわゆるガールズトークもたくさんしたものだ(あの服がカワイイとか、俳優の誰それがかっこいいとか、最近いい人はいないのか?等々)。綺麗好きで几帳面で、ユーモラスで、でもマイナス思考で愚痴っぽい面もあったおばあちゃん。 私は両親が転勤族だったため、本当の実家というものがない。 だから、ある意味では祖父母の家が一番「実家」という概念がぴったりだった。 今でも私は、あの家の風景や、居間から見える庭や、置いてあった時計や、リノリウム張りの床の質感を思い出す事ができる。 色々な事情があって、彼女は住み慣れた札幌を離れざるを得ないこととなり、祖父母の家も今は跡形もない。 祖母にまつわるそんな記憶を辿りつつ… 覚悟はしていったが、私と母が孫と娘だということは断片的に思い出すらしい。名前とかは判らなくても。 記憶が錯綜したり混濁したりしていても、私達が祖母に会いたくて遠路はるばるやって来たことは判ってくれて、とっても喜んでくれた(「今日は最高だ」と何度も言ってくれた)。それだけでも私は嬉しくて、北海道から行った甲斐があったなぁと思って、ずっと祖母の手を握っていた。 温かくて小さな手。 90歳だというのに祖母は全然若いし、冗談も飛ばしていてキャラクターはそのまんまだ。 やっぱり私が好きなおばあちゃんだ、会えてよかったなぁ。一緒に写メも撮っちゃったよ(笑)。 夕方がやってくるのが寂しいという祖母。欲しい物はなんにもないって言うけど、きっと話し相手が一番欲しいだろうに。 周囲の方々は皆、とてもよくしてくださってることに母と感謝しつつ、でも…祖母の幸せってなんなんだろうと考えてしまった。札幌にいる頃、いやそれ以前からずーっと彼女は「幸せ」ではなかったような気がする(母とも共通見解)。 札幌に行きたいけど、夢のまた夢だねぇと呟く祖母。 「私、札幌から来たんだよ!」と言うと、「あらそうなの!」と笑顔になった。 別れ際に、今日はありがとうね!と本当に嬉しそうに言い、私達を玄関まで見送るというではないか。 優しくそれを制止する職員さんにお礼を言った後、エレベーターが閉まるなり母と二人で泣いてしまった。 今度はいつ来れるだろう。 あんなに祖母に愛情をたくさん注いでもらったのに、全然返せていない気がする。 会いに行ったことだって、記憶に残らないかもしれない。 とはいえ、私達母子はウルトラポジティブなコンビなので、数時間もしたら通常モードに復活してウィンドウショッピングなんかしてたんだけど。つくづく、一緒に行ってよかったと二人でしみじみしたのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010年12月19日 22時39分12秒
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