遅まきながらの「ブラックスワン」
や~~~っと見てきました。この映画のことを知ったのはずいぶん前で、最近マニアック映画の友のAちゃんと映画自体見に行くことがなくて、絶対行こうね~~と固い約束をして幾月か。。。思いのほか話題作となり、どうなってんだぁとますますもっての好奇心だったのだが、この映画がR15+と知ったのは夕べ。素朴に「なんでぇ~~」だった。今日、実際見てナゾが解けましたが。白鳥と黒鳥の両役がこなせない主役のバレエダンサーがその葛藤に悩むサイコスリラーものときいちょりましたが、まさかこんなにリアルな性描写があったとは正直、ドン引きの私とAちゃん。もっとバレエを背景にした人間ドラマを予想してたので、まったくソレを超えたモンでありました。冒頭から前半部分は、よくあると言っては何ですが、それはそれは美しいバレエ映画を思わせるものでした。音楽もドラマティックだし、バレエの稽古風景やら、トウシューズの手入れシーンやら、それから、新しくやってきた女たらし風の振付家や、元バレエダンサーのママンは妊娠を機に(しかもどうやらオトコに騙されたすえ)、キャリアを捨てる羽目になってるとこやらが、あのヅカの「堕天使の涙」を彷彿とさせ、私の涙腺はゆるみっぱなし。ところが、振付家のとこに主役にして欲しいと直談判に行くところあたりから、私の涙はすっこみ、どんどんあれれ~~な展開にまさにどろどろな部分とバレエという美意識のべール包まれた部分とのギャップに成立してるような…けど、きっとコレに近いような事柄はどこにでもあるんだろうなぁとは想像が付きました。ともかく精神的に病んでいき、現実と妄想との間を行き来する主役が可哀想でいくら技術だかがすぐれてても、天性のモノを持ち合わせてないがために、役に潰れていく様がリアルに怖い。そして、母親がまた怖い。けど、この母子の関係には怖いながらも感情移入ができ、そして、音楽がやっぱり素晴らしいし、バレエの場面も美しい。お話自体は、思ってたものとは違ってたけどまったく退屈することなく引き込まれました。ナタリーポートマンの体当たりの演技と美しさに私は力負けして泣かされましたよ。このヒトの映画、近年では「宮廷画家ゴヤ」と「ブーリン家の姉妹」の2本見てましたが、どちらも頑張ってたわりには、話題にならず残念に思ってたので、今回の受賞は嬉しい限りです。ただ、私の好みは前作の2本なんだけどね。