カテゴリ:本・読書
花伝書(風姿花伝) 550年前に、世阿弥が書き記したもの。 能のことを書いているんだけど、驚くほど、表現豊かで的確。 言葉で明確に表すことが難しい、芸の感覚、場の雰囲気、 そういったものも、詳細に書きとめられている。 この別紙の口傳、当芸において、家の一代一人の相傳なり。 たとひ、一子たりと云ふとも、不器量のものには傳ふべからず。 「家、家にあらず。次ぐをもて家とす。人、人にあらず。 知るをもて人とす」と云へり。 世襲を優先させるのではなく、あくまで能力をもって判断し、 芸を伝えるべし、と言っているのだから、すごい。 才学はないが、能の本を書くことが使命だと書いている世阿弥は、 この志によって、現在まで引き継がれる能を、 父観阿弥とともに創り、広げ、守ったのではないか。 そもそも花と云ふに、萬木千草において、四季に咲く物なれば、 その時を得て珍しき故に、玩ぶなり。 申楽も、人の心に珍しきと知るところ、即ち面白き心なり。 習い覚えつる品々を極めぬれば、時・折節の当世を心得て、 時の人の好みの品によりて、その風体を取り出す、 これ、時の花の咲くを見んが如し。 花と申すも、去年咲きし種なり。 芸の道は、決してそれ自体が特殊なのではない。 何をするにも、それが現れる方法は異なるけれど、 根本は同じなんだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.11.17 01:18:21
コメント(0) | コメントを書く
[本・読書] カテゴリの最新記事
|
|