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仮に、彼の名をジョンとしておこう。ワシのオフィスにいるアメリカ人の
スタッフの一人じゃ。犬の名ではないぞよ。 *** 「昨日私はセブンイレブンに行きました」 「おお、さよか」 (ちなみに元の言語は英語である。) 「探していたものがなかったので、表にいたホームレスにボトルの水を 買って上げました」 「ほう、善きかな。さても、貴殿がいつか天国の門前に立った時、その 水の重さがすべての悪事の重さを上回るであろう」 「Wow, Great! しかし、深い話ですね」 「貴殿は黒パンの話を知っておるか?」 「知りません、どんな話でしょう」 「ふむ、知らぬとな。ならば教えてしんぜよう。むかしむかしのドイツ (ロシアだったかのう)の話である」 「Ah, Ha!」 「ある金持ちがおって、これが大変なケチであった。どんなに頼まれても 人に物を施すことがなかった」 「Oh, my God!」 「じゃが、あるとき、門の外にいた乞食に気まぐれで黒パンを投げて やった」 「Wow!」 「金持ちはある時心臓を抑えて倒れ、そのまま帰らぬ人となった」 「・・・」 「金持ちが天国の門まで来ると、そこで天国行きか地獄行きかを決める 審判官がはかりに何やらのせている」 「『さあ早く門の中に入れて下さい』金持ちは当然自分は天国に行く ものと思っている。ところが、審判官が次々と乗せているのは金持ちの した悪事ばかりじゃ」 「Jesus Christ!」 「ハカリの地獄行きの方の腕は下がり、地面にぴったりとくっついた ままで、ぴくりともせぬ」 (ジョンは悲しそうに首を振る) 「だが、その時じゃ。審判官が最後に袋から取り出したのは黒パンで それを天国行きの皿に乗せた。するとどうじゃ、ハカリはぴたりと 釣り合ったではないか」 「デ、ドウナリマシタカ?」 「審判官がいうには『釣り合ってしまったので、どちらにも行けぬ。 もう一度出直してこい』ということで金持ちは生き返ったのであった」 「Wow!それでは私もペットボトルのおかげでよいことがありますね?」 「さよう、しかし、貴殿の場合はワシにかけている迷惑があまりに重い からのう・・・」 「え、あなたの英語、何言ってるかわかりません」 「・・・」 *** こうして、また一日が過ぎて行くのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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