ゴミの日来るまで

　ただ死ぬより恋をしよう

























　





　まずい。
　と、昨日思った。
　これはまずい。
　最近仲良くなったある女の子と昨日、ふたりで飲みにいった。
　何で仲良くなったかというと、
　その子はお酒の世界にとても興味があって、
　俺がわりかしお酒に詳しいから。
　あと、全体的に似たもの同士だと思う。
　読む漫画とか、泣くポイントが一緒とか。

　彼女と飲みに行くのは実は２回目なのだけども、
　昨日も俺は、ウキウキと出かけたわけだ。
　もちろんウキウキは隠してるけど。
　彼女の仕事が長引いて俺は１時間くらい待ったけど、
　そんくらいは気にならない俺。
　やがてやってきた女の子。
　モデル並みのスタイルを持つ美女である。

　まあ、目的のバーにいって、カウンターに座って飲みましたよ。
　とにかくスバラシイ夜だった。
　まず、店がスバラシイ。
　薄暗い店内、スポットライトが照らすカウンター、
　バーテンダーとの会話、うまい酒。
　そして隣には美女が。
　ううむ、これほどスバラシイことはない。
　そこでお酒の話、仕事の話、漫画や映画の話・・・
　いろんなことを話した。
　あー、ひさびさにこれほどうまい酒を飲んだよ。
　気づいたら、あっという間に午前２時を回っていた。
　少し酔った彼女を家まで送り、欲しがってたお酒のミニボトルをプレゼントして、バイバイ。
　俺はひとり煙草をくわえて火を付け、紫の煙を吐き出し、家路につく。
　少し酔っているせいか、喪失感はあまりない。
　いや、そもそも何も手にしてないのだから、喪失感などあるはずもない。

　家に帰ってベッドに横になり、眠ろうとする。
　しかしなんでか、その子のことが頭から離れない。
　これはまずいと、俺は思ったよ。
　でも、と思い直した。
　別にいいか。
　俺は頭に次々と浮かんでくるその子の姿を、いちいち楽しむことにした。
　やがて俺は、ぐっすりと眠った。

　うーん、いい話のように見えるけど、一つ問題が。
　その子、彼氏がいるんだよなぁ。
　しかも、１０歳以上年上の。
　許せんなその男！！！！
　昨日も彼女を送った先は、その彼氏のアパートであるという、とんだ道化師な俺。
　まあ、そんなことはどうでもいいか。
　世間にいわせれば、いい友達でいろってことか。
　それでもいいけど、でも、
　好きな人は好き。
　欲しい人は欲しい。
　あとのことは、俺にはよくわかんねえや。
　彼女が俺に振り向くことはないと思うけど、あんまショックじゃない。
　嫉妬はするけど。

　外は雨。
　肌寒い。
　俺はひとり煙草をくわえて火を付けた。
　紫の煙は、曇り空へ吸い込まれていく。



　







　見よ、世界は美しい！！