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テーマ:温泉について(1667)
カテゴリ:赤倉・瀬見・肘折温泉
※※※この旅館は廃業してしまいました。ノスタルジーとしてお読みください。※※※ 不覚にも、コンテンツを考える前にHP立ち上げてしまいました。 好きなロックのアルバムを一曲づつ紹介していくということと、温泉めぐりの体験記を中心に書いていく積もりです。 とりあえず去年の夏宿泊した山形県赤倉温泉「あべ旅館」をレポートしてみますね。 私のレポートは今後、多少なりともこんな感じになるでしょう(これは特別に長いですが)。 ■◇◆◆□ あああ赤倉温泉あべ旅館■◇■◇◆ 赤倉温泉「あべ旅館」はなかなかに立派な旅館でありまして。 もともと温泉街では豪壮で目立つ旧館に、道路を向かい合わせて新館を平成8年に建て、3階と地下の2本の連絡通路で結んでいます。 同じような増築の仕方を、ライバルとみられる滝澤屋もしています。 これは赤倉温泉街が川と山に狭められた細い2本の道を中心に形成されていることによるものですが、この二件の独自の建築様式が上の空間をも狭苦しくし、この温泉街に特異な風情を与えていることは間違いありません。 ただし「新館の旧館向き」の部屋はとても見晴らしなどない状態で、建設時にそれが課題になったのではないでしょうか・・。 ここに一番料金の低いツインルームを置いています(私はここに泊まりました)。 団体さん指向の宿だから、添乗員の部屋に使うほか、一人での宿泊者、経営者の親戚、およびグループからの余され者(寝言、歯軋り、窃盗癖、女装癖など)に使い勝手がいいのでしょう。 それでも部屋は新しく清潔で、何不自由ありません。 それに、土曜の夜一人で泊まるというのは旅館に対し、ほとんど嫌がらせともとられかねない暴挙ですが(私はこのパターンが中心)これでほぼ一万円というのがうれしいです。 52室、254人収容。ここ数年、世を捨てるように鄙びた宿ばかり選んできたから、このテの旅館は実に久しぶりで、忘れていたことがありました。 それは大きい旅館には得てして酔った田舎の団体さんがいて、それは基本的に「巨大な騒音源」だってことです。 今回も、かなり典型的なグループに遭遇してしまいました。 漁業関係の団体とおぼしき「ジジ・オヤジ」は既に往路のバス中で出来上がり、パラレルワールド状態と化し、「オバ」も負けじと、旅の恥もかき捨てとばかりに本来のありのままの身もふたもないありよう・・。 あああこういう連中に囲まれるということですね、団体に出くわすというのは。 このときも私がひとりで地下から上がってきたところに遭遇。オバさん連がエレベータを揺らして入り込むや、人の顔を見て 「あ、3階3階!」 って、私、浴衣着てるのになんで従業員扱いなのでしょうか? (上海でもこんな目にあったことがありますが) 風呂に。 目当ての大岩風呂は夜中にならないと男は入れせん。 こっちは新館のあまり特徴のない風呂です。 ただし広さは十分であり、悪くないですが。 しかしここでも、ジジたちはすでにこの浴場を実質上占有しているのでありました。 3人の音圧で「結界」をつくっているのです。 私は洗い場に並びたくなく、ちょっとオケで体を流して湯船に入ると、まるで連動するように他の3人もどぼぼぼんと入ってきました。 ううっ、やめーい、手で湯を顔にすくって「ぷはーっ」とするのは!ぷはーの湯は私の肌にも接しているのだぞ。 湯船で共生しているのだぞ。 これそこな!手ぬぐいは湯船にいれるなっ!頼むから私を囲んで大声で話しあわないでほしい。 私にヌンチャクが使えたならと思う。 このへんの人たちなのか、訛りが激しく、ほとんど韓国語にしか聞こえません。ときどき「62度」とか数字だけはっきり聞き取れるから、不思議。 3人は以外に早く湯船からあがって、まったく同じポーズでカラダを拭いています。 シンクロナイズドです。 それがなんとも気持ち悪い・・。 そして、脱衣場でもステテコ姿で声高に座談会。 夕食も、この団体様とご一緒かあ、あ~あ・・と思いきや、やれ嬉し、夕食は部屋に持ってきてくれました。 食事を運んでくれた仲居さんの背中には確かな後光がさしていました。 「こんな山ん中まできて、海魚のサシミだすな!」と私は長年に主張してたのです(自分の日記帳に。) しかし最近は「クール宅急便」もあり、山も川も関係なくなってきています。さらに私、この日は無性にサシミ定食を無性に食いたい気持ちでした。マグロ、ホタテなどにワサビ醤油をつけてうまうまと夢中でクリご飯を貪り食う・・。 ・・・あ、しもうた。おひつにご飯が入っているわけじゃないので、サシミとご飯を食べ終わったあとに、6,7品ほどの山の幸が残ってしまった。 私は腕組みをしました。むうう・・このエントロピーの失われた状態を巻き戻すのは神の手にあっても至難!・・ このときである、さっきの仲居さんがほとんどノックと同時に飛び込んできたのです。 「どわーっ!(心の叫び)」 「お吸い物があったんですよー。置いていきますね!」 なにか落し物でも拾ったような口調で、腑に落ちません。 明らかな出し忘れではないでしょうか。 しかしこの吸い物はウズラを叩いて肉団子にしたようなものが入っていて、なかなかショウガも利いてイケます。 しかし仲居さんよ~♪なぜ膳を下げるとき、箸も下げてしまったの? 私は人差し指で肉団子を口元まで手繰り寄せなければなりませんでした。 こんなとき一人旅はいいものです。 (しかし家内に、留守番賃として、一万円置いてきてますが) さてこの団体には案の定、夜中まで悩まされました。 2次会、3次会と部屋でやるもんだから廊下をせわしなく往来し、廊下で声高でしゃべる。 早く寝込んだヤツをもういちど起こそうと激しくドアをノックする・・。 「コンコココンのスッコンコン」 ・・・・やっぱり、芸がないな・・・。 下のカラオケルームもけっこう盛大に響いてきます。 例によって「本人だけ気持ちいい」アレで、イントロは先食いするし間奏は守らない。 自分がなまじ楽器を演奏するものだから細かいところが聞き流せなくて悶々としました。 さて、11時・・。 ここの売り物である洞窟式の天然岩風呂に行きました。 天然の岩盤を刳り貫き、ローマ風というかアーチをしつらえ、そこに古風な裸婦の彫刻を置いたこの大浴場は、日本の温泉史上も不朽の名作でありましょう。 この間定年退職したオバサンが幼少のころまったく同じ風呂に入ったと証言していたから、これは優に50年以上は経つビンテージ・スパです。 ここには団体の姿はありません。 しめしめ。 裸婦像に私は勝手に「律子さん」と命名し、何かと話しかけました、健気なものだ、もう50年以上も一人裸でがんばっているのだといいます(?)。 十和田湖にも「乙女の祈り」とかいう像がありましたが、やはり同様にずんぐりでおなかがぷっくり出、足腰も質実剛健。 ・・このころの典型的な婦女の体型なのか。 顔だちは郵便局職員という感じですが、いかんせん愛嬌がなくオクタビアヌスとかカエサルのような厳しい表情・・。 こんな姿で50年も立たされて衆人の視線に晒されるのが、やっぱり不本意なのかもしれません。 彼女にマーフィーの法則などを説いても、栓なきことでありましょう。 この大浴場はしかし、実に魅力的です。 風呂自体がレトロで豪快で何か「夢の舞台」になりそうな「何か」が潜んでいます。 湯は硫酸泉特有の無味無臭、無色透明のもの。 湯量も豊富で、じゃんじゃん掛け流されています。硫黄泉のようなどっしりした入浴感はありませんが、下着が臭くならなくてよろしい。 新館の七階に行けば、檜の露天風呂もあり、この旅館では時間帯を変えて、3つの大浴場めぐりを楽しむことができます。 こういう宿だと、私は鼻血がでるほど風呂に入り浸ってしまいます。 さて、そろそろ総括しよう。 さきほど団体さんの悪口を書いたが、この旅館が悪いわけでは決してありません。料金を考えれば、部屋、風呂、料理とも申し分ありません。 また、朝食はレセプションホールでバイキングだが、場所を選ぶと川と赤い橋の風景を遠く望みながら食べることができます。 なんとも贅沢。 結局、何べん躾の悪い団体さんにでくわそうとも、私はこの宿に足を向けてしまうでしょう。 感想は5段階で、★★★★☆。 あべ旅館 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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