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テーマ:今日聴いた音楽(75212)
カテゴリ:山下達郎解説
GREATEST HITS/山下 達郎
大学一年の時、吉田美奈子がキャンパス内の講堂でコンサートをするというので「どれどれ」と見に行ったことがあります。ドラムは当時まだそれほど有名ではなかった村上ポンタ秀一(!) ドラマー 初心者だった私は前の方の席に陣取り、プロのドラマーの叩きっぷりを一瞬たりとも見逃すまいと凝視したものです。 スネア、シンバル、タム、ハイハットの間をポンタの2本のスティックが縦横無尽に出没する。全然動きの見当がつかない。しかも強弱が絶妙につけられていて、ドラム自体が唄っている感じでした。彼が叩きだしている物理的な音以外に、なにか「気配」のようなものを同時に発している気がしました。 「そうか・・ドラムってのはホントはこう叩くものなのか・・(笑)」 目からウロコが落ちる思いがしたものでした。 美奈子のコンサートは、メンバー全員が非常に「手だれ」だったこともあり内容のキッチリ詰まったいいステージでした。 最後に、細身でニヤけた男が紹介されました。 「ゲストで来てくれたギターのタツロウくんヨ」位に言われたかな。 ちょこちょこっと冗談のような弾き語りをやってすぐ引っ込んでしまいました。 何しにきたのかなーという位あっけなかった・・ように思います。 これが私の記憶に残っている、「天下の山下達郎」の当時の「ナマ」の姿でした。 二年になったとき、私のバンドのギタリスト・・仮に「佐藤」としておきます・・、がベースに転向しました。夏休み、他の連中が帰省している中、ドラムとベースで練習する日々が続きました。 ある日、佐藤が「俺達もっと上達するためにこういう16ビートの練習しないか」と言い出し、達郎のファースト・アルバムを私に差し出しました。 彼の参加しているSUGAR BABEは持っていましたがこういうレパートリーをやろうと考えたことはありませんでした。 しかし確かに・・「芸風を広げる」にはいい課題曲。 私は「よし、わだば村上秀一になる!」(棟方志行かっ!)と一大決心したのでした。 この日から普段聴く音楽もパープル、スコーピオンズ、ジューダス・プリーストなどからユーミン、大橋純子、高中正義などに切り替えていきました。 新たなギタリストにはリー・リトナータイプとギンギンハードロッカーの2人をそろえました。 練習のため、来る日も来る日も達郎の曲を聴いているうちに、だんだん彼の独自の世界が頭に「住む」感じになってきました。 もう一曲だけ、もう一曲だけ、と言いながら結局卒業するまで優に10曲を超える達郎のコピーをしてしまっていました。 そして初対面から30年にもならんとする今・・彼の音楽は70年代HRの作品とともに私の生活になくてはならないものに定着しています。ただし、「村上秀一」には、ついぞなれませんでした(笑)。 1.Loveland,Island 隅々までキャッチーで小気味よい曲作り。 才能抜群の頭脳と素晴しい声帯の出会いによるゴージャス感のあるボーカル。 なんとも居心地のよい音楽空間、それだけに浸ればいい。 特にエンディングのLoveland,Island,I love youという繰り返しの部分の歌とコーラスが好きです。 2.愛を描いてーLet's Kiss the Sun- この曲もコピーしました。 イントロの終わったところ、キメの三連符の後に不思議な効果音が入っていることに今回初めて気がつきました。 このひたすら♪ンペンペと唾を飛ばすベースが気持ちいい音です。 私はドラム(ちょっと単調)よりかコーラスをやるのが楽しかったっけ! それにしてもLet's Kiss the Sunとはすごいフレーズだな~(笑)。 3.あまく危険な香り このタイトルはあんまし好きではないけど、♪あなたの~という出だしのメロディで、一発で心を掴んでしまう傑作。 ここの歌詞も良い! 心は、暗がりの扉の影で、報われぬ愛の予感で震える 重苦しいピアノソロも泣けます。 ところでこの♪ドンドンツドン ドン というリズム、LAあたりから流行りだしたのかな。これよりずっと前、野口五郎の歌謡曲にまで使われていて笑った覚えがあります(年がわかるなあ・・。) 4.Ride on Time 当時マクセルのカセットテープのCMに使われました。 四分で刻むバスドラとチチチ・チチチ・・という機械的なハイハットの音に、私はどことなくテクノポップの影響を感じていましたっけ。 この曲は叩きながら歌いました。 おお、よく聴くとこの歌詞も凄い。 青い水平線を、今駆け抜けてゆく、研ぎ澄まされた、時の流れ感じて・・ この感覚、どこかで・・そうだ、「枕草紙」だっ!(違うか・・) 5.夏への扉 こういう、波を眺めながら回想に耽っているような曲想の作品て、達郎に多い気がします。このベスト・アルバムの中では握りずしのショウガのような役割を果たしてくれている、って、失礼ですか・・(笑)。 6.Funky Flushin' どうです、テンション全開、株価上昇の16ビートナンバー。 私のバンドにパーカッションはいませんでしたが、今になって思うと、コピーするときもう少しこのティンパニーとかの感じを再現すればよかったかな、なんて反省したりして(無益!) ところでこのギターソロ、ラリー・カールトンみたいだと思いません?? コーラスの特徴のある声は美奈子かな。 ベースはこの音色・まさかグレンヒューズではないでしょう(笑)。 7.Windy Lady 前書きで書いた、私のバンドで練習した初めてのタツロウ・ナンバー曲がこれでした。 しかし難しかった~。片手16ビートでしかもシャッフル! ちょっとのっけからハイレベルすぎました(今でもこうはいきません)。 ドラムは誰だったっけ、アメリカのスタジオミュージシャンです。 実に見事な演奏。スネアのズシュッというオトとアグレッシブなハイハットワークが特にいいです。 8.Bomber 5秒脳殺、これこそスラップベースを武器にした達郎風ファンクヘビメタ! 当然、コピーさせていただきましたとも。♪掴むことができる都市さ、あ~~というところが声が裏返ってねえ・・(遠い目)。 タツロウでこんなハードロックギターが聴けるとは思わなかったでしょう(笑)。 イントロのわざとシンプルなシングルストローク連打は良いけど、せっかくだからドラムももう少し暴れてもよかったのでは?という気も。 9.Solid Slider 聴いてると顎が自然に止まらなくなります(笑)。 達郎も当時スティーリー・ダンをよく聴いたのではないでしょうか。 ところで今頃恥ずかしい疑問ですが・・Solid Sliderってどういう意味か、「頑丈な滑走者」?(苦笑) 10.Let's Dance Baby そろそろ演奏やオトのことばかりでなく歌そのものを楽しみましょうか(笑)。 この曲はもう間違いなく日本の誇る良質なポップスですね~。よくこういう曲を考えつくもの。♪ Oh Baby~と歌うとき、達郎くらい似合う声はないでしょう。 11.潮騒 どことなくバート・バカラックの作品を思い出させるホロロンとした曲。 情景が目に浮かんでくる。 こういう何気ない曲には、達郎の背後にある、夥しい音楽の蓄積を感じます。 12.Your Eyes 何だこのサウンドのトロみは・・!?ミラーボール+チークダンスの世界に誘われてしまいました(笑)。 アダルト・オリエンテッド・ニューミュージックかっ! このヒトが作ると、こういうあざとい曲でもむせるような豊饒感が出るからシャクですね。 今度カラオケ屋にあったら一丁歌ってみるかな、なんて欲が出たりして(笑)。 13.Love Space このニュアンスに満ちたドラムは村上秀一だったはず。 私がやるとフレーズは同じでも木の風呂桶並べてるようになってしまのです(笑)。 ♪んっチーんチー、チッ!、とかハイハットのアクセントのつけかたは彼がスティーブ・ガッドから吸収したものか。惚れ惚れします~。 ドラムだけでなくスペイシーなピアノもいいし、各パートが実に的確な演奏で曲全体をハイレベルなものにしています。 14.Sparcle ああ、テレキャス持ってこのイントロ弾きたいな~。 おいらはドラマー、コードのひとつも満足に押さえられませんが・・(笑)。 この曲大好き。まさに達郎サウンドの一大スペクタクル、満漢全席、九連宝塔、ロイヤル・ストレートフラッシュだっ!とはやや大げさかもですが(笑)。 そうそう、ライブアルバムに、いいテイクがありました。'JOY'ってアルバムにあったかな。そっちはさらにさらにカッコよかった。さっきそれを調べるのにネットで調べてたら「達郎の鉄板ギター炸裂!」とあって笑ってしまいました・・。実に、的確な表現です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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