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カテゴリ:洋楽(ロック・クロスオーバー)
1976年に彼らがこのサウンドに到達していたというのは大変なことだったかもしれない。 アメリカンとブリティッシュとプログレのいいトコ取りをしたようなバンドだが、それは決して模倣の産物などではない。彼らは堅固なアメリカンロックの素養の上に試行錯誤しながら様々な要素を加え、独自の世界を構築したのだ。 私は実は、ボストンは「半分食わず嫌い」状態だった。 昔、姉が旦那さんの仕事の関係で色々な見本盤をときどき土産に持ってきていたのだが、私はボストンは「AORは嫌いじゃ」・・とポイしていた覚えがある。 MIT卒の理系の秀才が12トラックのミキサーを駆使して作り上げたという話ばかり強調されるフシもあるが、今聴き返してみると、一曲一曲にそれぞれのパートの聴きどころもふんだんにあり、何よりロックとして楽しい作品になっているし、そのためにオトにこだわったのだろうなと腑に落ちる。このアルバム、オトの良さだけで聴かせてしまうが、このオトは演奏のディテールを隅々まで味わうことも可能にしているのだ。 ★★★★+half。 1.More Than a Feeling 非常によくできたポップ・バラードだ。 中間部のリフを聴いて、一瞬ヒープの世界に行くのかっ!と思った。 そこからUターン禁止状態になるとヒープなのだが、ここではまあ絶妙の音色のギターソロなのであった。 ここでのサウンドがこのアルバムの最大のポイントだと思う。 ああ、何べん聴いてもいいオトである。 2. Peace of Mind リフからしてドゥビー風味(Sweet Maximあたりかな)溢れるロケンロール。 ♪イエ~イ ホホホ~も(笑)。 ネアカで煌めきのあるギターソロなどもどことなくそんな感じ。 そしてTOTOにも通じる何かがある。 ベースに剛性感が強く耳に心地よい。 3.Foreplay/LongTime これはプログレぽいぞ!どこのに近いか・・うむ~イエスっぽいけど高度でバラバラな演奏を組み合わせるのではなく右向け右!的なユニゾンのかけ方はELPか・・(笑)。 と思っていると、後半はほんのわずかスコーピオンズぽくもなる。 イタコのように色々なバンドの表情がはらはらっと出てくるが、これもトムの音楽的教養の広さゆえか。 ドラムとベースの音の分離が良く、かなり手間ヒマかけて作りこまれたなという感触がある。 ギターソロもスペーシーでいかしている。 4.Rock&Roll band イントロのキーボとギターでギュギュ~~ッと重厚に盛り上がっていくところが凄い。 おいしいロケンロールの曲。ドラムが少しベーシックすぎるかなあ。 5. Smokin` ン?このイントロのサウンド、日本のどこかで・・ BOWWAWの「FoxyLady」だっ! 彼らがボストン聴いていたかどうかはわからないけど、似てるなあ・・。 気のせいか・・。 キーボとギターの相性が最高である。スペーシーな効果音がなんとも上手い。 6. Hitch a Ride アコギから始まるしっとりした曲・・かと思いきや、様々な展開が。 アメリカの古いポップのようなメロあり、華麗なキーボの舞あり。 締めくくりは音色が一回ごとに交代するギターソロ。 エンディングも後味よし。 7. Something about You 静寂の夜から太陽輝く昼に急展開し、ドゥビーっぽい上機嫌なメロがぱあっと広がる。 ♪さあ、どこに行こうか!という気分になる。 このバンド、ボーカル、コーラスもどことなく清潔感があっていいね。 8. Let Me Take You Home Tonight アルバムでは珍しく16ビートのキメ。 曲のところどころにイーグルスへのリスペクトが感じられるのは私だけか。 この甘さは私の好きなAMERICAにもちょっと通じるものがあるかな。 後半はメリー・ゴーランドのフル回転といった趣。アマチュアバンドでこれを上手くできたらカッコいいであろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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