アメリカン・ロックHRの代表選手のひとつだが、実態はJOE WALSHなどの看板ギタリストにすべておんぶに抱っこしてしまう甲斐性なしバンドともいえる。
このアルバムでもその傾向が顕著であり、ここでは後にパープルに参加するTOMMY BOLINが入った早々大黒柱にされており、全9曲中8曲が彼の手になるもの。
だから曲は悪かろうはずがない。
ただ他のメンバーの力量が劣るため、バンドとしての仕上がりはサイコーとまではいかない。
なんとなくロールスロイス1台と軽自動車3台が併走しているイメージというのは、言いすぎか。
でもトミー好きだから★★★★+half。
1.Standing in the Rain
アメリカン・ロックの楽しさ満載、なんか胸がワクワクしてきます。
友人が送ってくれたギター・マガジンには、このようなスライド・ギターと押弦プレイの併用スタイルは彼のトレードマーク的な十八番アプローチと解説されている。
パープルの'COMIN' HOME'のイントロでも聴ける、「きゅるるるるる~ん」というヤツ、エコープレックス・サウンドっていうらしい。
アルバムのトップに持ってくる価値のあるラブリーなナンバーである。
2.Devil is Singing Our Song
ちょっとポール・ロジャースあたりが歌いそうなスローなナンバー。
ちょっとしたフレーズに、後のCOME TASTE THE BANDでの曲の萌芽を見出すことができる。
3.Must be Love
短いソロだがトミー、ここでも素晴らしい。
もっと弾いてくり~~。
4.Alexis
このアコギで歌うのがトミーだな。
ROY KENNERのボーカルがちょい暑苦しいのでトミーの「ひそひそ」という声が非常にスマートに聴こえる。
もっと歌ってくり~~。
メロの合間に入る4連のキメの音階はまるでバカラックのようだ。
5.Ride the Wind
おっほほ、イントロ、BAD COMPANYの’Rock Steady’を思い出してしまった。
ここでもトミー、彩り豊かな音色を聴かせてくれる。
6Got No Time or Trouble
アメリカンロックの王道をいくナンバー。ベース音がもう少しソリッドな方がいいな、ってついドゥービーと比べてしまう。
7.Rather Be Alone With You
この曲だけROY KENNYが作曲。
あまり好みではない。
8.From Another Time
アルバム中一番好きな曲。
何べんも繰り返し聴いてしまう。
ブリティッシュHR風味のリフがいいし、ベースもなかなかうねっております。
全体を取り巻くテンションと躍動感がなんとも言えない。
ソロではンタンタッタッタ・・というトミーお得意の導入部にニンマリ。
速弾きの語尾の、キュンという音色にニンマリ。
9.Mystery
アコギに戻る。ストリングスも入る。
なかなかの大作でプログレっぽくもある。
このヴォーカルもトミーだよね。
曲も甘美で実によろしい。
ただ、どことなく不吉な不吉な甘さではある。