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カテゴリ:よもやま話
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多くの人が行き来する大きな通り。 非常に長い仮囲柵が立っていて、区画整理などを伴った大開発が行われている模様だ。 ある外国人に尋ねられる。 「スペインの殉教者の墓」というところに行きたいというのだ。私は通行人に訊いたりするが、みんな知らないという。 柵を良く見ると、巨大なスペイン文化センターや殉教者の墓などが図示されている。 確かにこの奥だ。 白い鉄製のドアが見つかった。 インターホンで確認を取ってから入ってくださいと書いてあるが、うんともすんとも言わないので黙って扉を押したらあっさり開いた。 ドアの向こうは、人一人がやっと通れるような細い道だった。 柵の向こう側は普通の市街地だったのに、こちら側は谷底に向かってゆったりと傾斜している地形だ。急に山奥に来た気分である。 ところどころに湯小屋があって赤土色の鉱泉が3人くらい入れる湯船にたたえられているが、洗い場が往来になっているので、とても入る気がしない。 道の向こうには小さな集落があった。 私はそこに手塚治虫先生のお宅があるので驚いた。 そして次の瞬間、私は先生の居間に通されている。 「何かとばたばたしますので、くつろいでいって下さいね」と先生はお茶を置いて別室に行った。 居間は大きな出窓があって、美しい藍染の、羽織のかたちをしたカーテンが強い日差しを受けて輝いていた。 奥様が、「ああ、この窓は、ファンの方が作ってくれたのです」 と教えてくださった。 細い道をさらに進むと殉教者の墓碑があった。 大理石の堂々たるモニュメントには、3人の神父がどのように信仰を貫き、凄絶に殉死したのかが説明されていた。 その墓碑が横にスライドしたかと思うと・・中から・・。 ■◇■◇◆◆□ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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