2期DEEP PURPLEの立役者、ボーカルのIAN GILLANが自前のバンドを引っさげ、心機一転、その割にはアルバム名がCHILD IN TIMEかい・・だが(笑)、いずれにせよ、2期パープルと彼の音楽志向はこうも違っていたのかと驚かされる。
ハードロックを基軸としつつ、ファンク、ジャズ、プログレあたりの要素を融合させたサウンドである。このアルバムではまだ手探り状態だが、この試みは2作目の'CLEAR AIR TURBULENCE'から結実し、パープルとは異なるアプローチでのスピード感、剛性感を獲得していく。その最高の状態は日本でのライブ、'LIVE AT BUDOKAN'で味わうことができる。
このアルバムの出来はまあ・・★★★+halfくらいか。
1. Lay Me Down
やっぱ2期パープルがよかったのはギランがいたからだよな~、こいつの出すアルバムこそ真のパープルサウンドを再現してくれるに違いない!と期待に胸を膨らませ、レコードに針を落とした瞬間、
「なんじゃこりゃ~っ!!」とジャケを放り投げたパープルファンが5千人はいたに違いない。
今聴くとけっこうイケルのだが、保守的なというか相撲は大鵬野球は巨人というベタ男の多いパープルファンにはとうてい受け入れられるオトではなかった。
2.You Make Me So Good
私が当初、本格的にへこんだのはこの曲に入ってからだ。
ギランのおっさん、あんたがやりたかったのは、こんな音楽なのかよお~~!!という
情けなさ、苦し紛れのシャウトが聴けるが、不調だ。
3.Shame
2と曲調は似ているが、こっちのほうがいい。
おやっ、RAY FENWICKのギター、ちょっとトミーボーリンに似てる面がある。
ちょっとオトがこもり気味なのが残念、このへんはプロデュースの責任か。
4.My Baby Loves Me
MARK NAUSEEFは実に変化に富んだリズムを叩き出すドラマーだ。
2,3,4、と凝った、難易度の高いパターンを叩いている。
でもそんなことはドラマーでなければわからないから、一般にはペイスのほうが遥かに上手いと思われるだろう。
この曲はキャッチーでなかなか良い。
5.Down the Road
この曲あたりからバンドのコンセプトがいい感じに体現されてくる。
オリジナリティ、スケール感にあふれ、感動させてくれる。
6.Child in Time
パープル2期の名曲中の名曲、チャイルドインタイムのプログレ仕立て。
これも初めて聞いたときは落胆の極みだったが、今聴くと2期のものと同等にヨイ。
ここでもナウシーフのドラムが面白い。
チチッチタド、チチッチタドはこの人の十八番フレーズだが、ギターソロのエンディング近く、フェードアウト間際に出てくるこのフレーズに注目!!
「タチッッタド・タチッチタド・タチタチタドチチ・ッチタド」(こんな感じか?笑)
この「タチタチタドチチ」が実に!!
カリスマフージョンドラマーSTEVE GADDの手順によく似ている。
こういうコンビネーションを生かしたフレーズはハードロックドラマーではなかなか見当たらないものだ。
7.Let Me Slide
優れたプログレバンドとしてのIAN GILLAN BANDの姿がここにある。
一音一音が最高に気持ちのいいサウンド。
JOHN GUSTAFSONのビイイ~ンというベース音もいいフィールだ。
まあ聴いてください、と言ってもとうの昔、廃盤になっているのが惜しい。
こうしてみると、2、3曲目がもう少しよかったらこのアルバム、結構名盤になっていたかもしれない。