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テーマ:今日聴いた音楽(75211)
カテゴリ:邦楽(ポピュラー)
ムーンライダースは、大学生の頃、聴きまくり、数曲コピーしたバンドで、思い出も強く残っています。 大学時代、ドラム初心者の私がどこか音楽サークルに入部しようと、いくつかある部室の前をうろうろしていると、ある窓の前から優しい、いい感じの曲が聞こえてきました。 「俺たち~いつまでも~星屑集めるルンペン~」(このアルバムの2.スカンピン) アリスとか千春とかのフォークは大嫌いな私でしたが、この曲はアコギでの弾き語りながら、私にビビビッと来たんです。 「失礼しまーす・・」 ・・おずおずと部屋に入っていくと、がらんとした部室の真ん中で、ちょっと学生にしては年のいった先輩が、ぼろっちい椅子に腰掛けて気持ちよさげに歌っていた。 笑顔で、「キミ、新入生?俺、6年生(笑)」 「はあ・・ドラムで入りたいと思いまして・・。」 恐縮して聴いていると、またピタっとオトを止め、「なんか好きなもので合わせていいよ」と言ってくれます。 私はまだドラムは「足」まで行ってなかったので(笑)、 厚かましいとは思いつつ、置いてあったスティクで遠慮しいしい合わせさせていただきました。 先輩は、ヘタだな、こいつ・・という風はオクビにも見せず、依然気持ちよさげに歌っています。 そのうち、部員が集まりはじめました。 ベースがかぶさり、上手いドラムの人が私にオモムロに代わってリズムを刻み(ぜ、全然違う・・)キーボがストリングス風に参加。 オトがずんずん、ずんずん目の前で厚くなっていく。 そこにみなが思い思いにコーラスを重ねていく。 「スカンピン」はそのようにして大団円を迎えました。 この雰囲気の暖かさは何なんだっ!! この演奏のハイレベルさにあやかりたい(笑)。 この6年生が、このサークルの伝説的長老であり、シンガー・ソングライターとして他の大学でも一目も二目もおかれる人だということは入部後しばらくしてから知ったことでした。 この方が出るというので見に行ったコンサートでドラムを叩いていたのは、なんとその後BOOWYで一世を風靡する高橋マコトさん(この人にドラムを教わったことがあるんです)。 私とはご縁があったらしく、その後私が社会人になってからもお声を掛けていただき、子育てで忙しくなるまで10年間くらい同じバンドでやらせていただいたし、2年前にはライブでなんと、ワガママを言ってユーライア・ヒープを歌っていただいた。 それはほぼ30年近く続くご縁ということになります。 さて話をムーンライダースに戻しますと、 70年代にいくつか出た、「世紀の名盤」のひとつと言っても大げさではない。 鈴木慶一、ムーンライダースの面々はもとより、当時の音楽シーンで最も感度のいい連中の才能が駆使されていました。聴けば聴くほど新たな発見がある。ボーカルの歌い方などに好き嫌いはあるでしょうが、達郎や大滝詠一のファンならば、8割がたハマると思われます。 ライナーノーツ(田口史人)の’「異国情緒と強烈な東京の匂いの同居」は孤高の世界’という表現は実に的確玄妙です。 1.あの娘のラブレター 君にラブレターくれたあの娘 今日街を出るはず 君がグズグズしてる間に 恋の季節はおしまい なんと気の利いた言葉であり、それにぴったしハマるオトであろうか。 この一曲で、私はも~全然ノックアウトなのでありました。 おかしいな、パープルファンだったのに(笑)。 2.スカンピン この曲を聴くと「廃人文豪」故・中島らも氏を思い出して、涙が出てきます。 俺達いつまでも 悲しみ集めるルンペン 破れた恋や夢を 今日も売り歩く ここのフレーズが特に心に響いてきます。 「スカンピン魂」というのがあるなら、私はいつまでも心のどっかで 保管しておきたいものだと願います。 「負け組」なんて言葉が生まれてくる、そして平気で使われている世の中、やっぱヤバイですよ。 「セレブ」って浅ましい言葉も、あ~イヤだ。 人間として、最低使っちゃいけない言葉ってあると思うのですが・・。 3.酔いどれダンス・ミュージック これも名曲・・ってほとんどこのアルバムはあたり一面全部名曲・・。 ウキウキと弾むリズムがよくて、学生時代ホント聴きまくりました。 4.火の玉ボーイ 人の心に普遍的に潜んでいるような、無国籍で無時代なナゾの男・・ 男女の心的な原型に近いものを、さあどうですかと差し出された心境になります。 なんつうかなあ、「あんたでしょう、火の玉ボーイは・・」とか刑事に言われてドキッとする夢を見そうだとか。 5.午後のレディ 一番好きな曲です。 斬新でレトロでイキでイナセな曲(何のこっちゃ)です。オシャレ~。ぜひ聴いてください。 6-1. 地中海方の天気予報 この最初の女性ボーカル、吉田美奈子だと思ってたら矢野顕子なんですね。 ふむ~、美奈子に似てるんだけど・・。 これもとろける曲である。 6-2 ラム亭のママ CD付の解説では、もともとスローなテンポの曲だったが、スタジオでマリンバを見つけたとたん、速いマリンバのフレーズがギリギリに弾ける位までテンポを上げたといます。 こうした道場六三郎的(古)遊び心、即興性がこのバンドの真髄でしょう。 大酒のみのホラ話でも ひとつ聞いておくれ シュララ シュラ シュシュ 自分に無縁の世界でも、いっぱしの世界を又にかける荒くれ男になった気分になっちまいます。ある虚構の世界にすっぽり投げ込まれたような感覚は、このアルバムの特筆すべき味であります。 7.ウェディングソング ウッドベースとブラシのリズム隊がよい。いいオーディオでいい酒で聴きましょう。 8.魅惑の港 ムーンライダースは一時期アグネスチャンのバックバンドをしていたといいます。 香港ツアーのたびにあやしいパーカッションを買い込んできたという、そのお披露目がこの曲です。ジャジーで演劇風の展開はまさにこのバンドの独壇場。セカンド以降にも色濃くみられる要素です。 ああ支邦の夜が来る には、あがた森魚のアプローチと共通するものを感じます。 9.髭と口紅とバルコニー 大学の卒業演奏会でやりましたとも。 今聴くとずいぶんゆっくりなテンポです。今頃気づいた(笑)。 涙が出てきます。 10.ラム亭のテーマ~蛍の光(スコットランド民謡) エンディングのアレンジも抜かりなく、このアルバムをコンセプト・アルバム風に仕上げている。これもあがた風であり、映画でいうと「蒲田行進曲」あたりを思い出します。コーラスは南佳孝と斉藤哲夫って・・すごくない?? 10~15はアウトテイクやライブの音源。 目をみはるのは「酔いどれダンスミュージック」の細野晴臣(ベース)―林立夫(ドラム)の強力リズム隊です。ファンク16ビート、ビシバシ叩いて本当に素晴らしい。 LPのほかにこのCDも買って本当によかったと身震いする瞬間です。 特に一巡目の、「ダンスミュージック!」のブレイクを無視してタム~スネアのロール~曲パターンのキメ~スネアロールと畳み掛ける組み立てが恐ろしくナイスです。天才ならではのシンプルにして効き目朝晩のプレイですね。 なぜこの凄まじいテイクが採用されなかったかというと、「和風のアイデアが生まれてしまったから」だといいます。採用バージョンはどこか盆踊り風です。今となっては、両方聴ける幸せをかみ締めるべきでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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