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カテゴリ:洋楽(ロック・クロスオーバー)
60年代シカゴ・ブルースの巨人と呼ばれた男、マッキンリー・モーガンフィールド・”マディ・ウォーターズ“。その死後10年の節目に、彼に捧げるためのプロジェクトを、ポール・ロジャース(現クイーン)が立ち上げました。 集結したミュージシャンは、なんとジェフ・ベック、リッチー・サンボラ、スラッシュ、ゲイリー・ムーア、トレバー・ラヴィン、デイブ・ギルモア、ブライアン・メイ・・。 なんとロック・ギタリストの紅白歌合戦状態ではないですか。 このときリッチー・ブラックモア、ヴァン・ヘイレン、スティーブ・ヴァイなどが参加していないのは、ブルースの系譜に属していないからでしょう。あるいは、単に人脈、スケジュール、ギャラの問題か。 受けて立つリズムセッションも超強力です。 ベースがあのジェフ・ベックのワールドツアーで渋いプレイを披露しているピノ・パラディノ、ドラムがジェイソン・ボーナム。 現代的にヘヴィーで、的確で小技も光っています。 このアルバムを素晴らしいものにしているのはこのミュージシャン達の功績も大きいでしょう。 最後にポール・ロジャースの言葉を引用し、曲ごとのコメントに続けます。 我々がこのアルバムを作っている間ずっと、 天国から誰かがほほえみを投げかけてくれていた。 それがあなただったと、私は思いたい! この作品に快く参加してくれて、 そのブルージーなプレイでアルバムを飾ってくれた、 素晴らしいミュージシャンに多大なる感謝の念を捧げる。 キープ・スマイリング ポール・ロジャース 1.Muddy Water Blues 序幕です。静かにマディ・ウォーターズへの賛歌を歌うポール。 ここではひたすら、優しくソウルフルな声と、節回しのウマさを堪能することとしましょう。 2.Louisiana Blues(G:トレヴァー・ラヴィン) マディが51年にヒットさせた曲です。 ジャカジャ~ンジャジャジャジャジッヤ~の響きのメタリックなこと! ベースのソリッドなラインもイカシテいます。 トレヴァーのギターは超・クリエイティブとまではいきませんでしたが、切れ味よく華麗に仕上がった。 3.Can't be Satisfied(G:ブライアン・セッツァー) ブルースからヘビーロックへ・・という変遷が一曲の中にたたみ込まれているような感触だ。ゴージャスなリズム隊がやはり良過ぎます。 ギターはジャジーなプレイを心がけているようで、そのへんでブルースの領域に踏みとどまったか。 4.Rollin' Stone(G:ジェフ・ベック) ウイリー・ディクソンの曲で、多くのアーティストにカバーされています。 ムヒョ~というオトで一発でジェフのギターとわかりますね。 バッド・カンパニーのような重い曲で、「ひとりワイヤード」してる師匠はやっぱり偉大です。 5.Good Morning Little School Girl(Part1) (G:ジェフ・ベック) ブルース・ハープの革新者、ソニー・ボーイ・ウィドアムソン一世の曲。 テン・イヤーズ・アフターの名演でも知られるスタンダード・ナンバーです。 こんなひそやかな曲なのにジェフのギターは自由奔放で、彼にしか許されない振る舞いでしょう。 6.Hoochie Coochie Man(G:スティーブ・ミラー) フーチー・クーチーって、どういう意味や? 呪術的魅力のある男・・とでもいうんでしょうかね。 7.She's Alright(G:トレヴァー・ラヴィン) ドラムのオカズがいい、それからギターソロに入ってから俄然この曲はカッコよくなります。 8.Standing around Crying (G:デイヴ・ギルモア) デイヴのルーツが正統派ブルースということがよくわかります。一音一音に対する神経質なまでの気配りがここでも際立っています。 9.The Hunter(G:スラッシュ) ここでシャッフルの曲になるのが聴いてて嬉しい。 いい気分転換になります。中盤、スラッシュのソロはすんばらしい聴かせどころがボーカルとしばらくカブってしまっているのが残念(故意か)。 オトはレスポールというより曲にあわせて細く鋭くテレキャスっぽい感じにしているように聴こえますが・・。もともとこういう音色だったか? 10.She Moves Me(G:ゲイリー・ムーア) ギターがとにかくカッコ良い。フレーズの良さ、音色、スピード感などを備えてキッチリ組み立てられました。 ハードなブルース・ギターを弾くならこういう風にやりたいなという憧れを感じてしまうのでした。魅力的です。 11.I'm Ready(G:ブライアン・メイ) おお、この頃はポールもクイーンに参加することなど想像だにしていなかったでしょう。 ストレートなハネたブルースロック・ナンバー。 ブライアン・メイ注目のプレイは・・相変わらずギターのような流しそうめんのような、なんともミョ~な音色だけが印象に残ります。 12.I Just Want to Make Love to You(G:ジェフ・ベック) このあたり、地味な曲が続く。ジェフのソロが入ったところだけ濃厚な別世界になってしまうのはまあ、お約束?。 13.Born under a Bad Sign(G:ニール・ショーン) 邦題「悪い星のもとに生まれて」。クリームのヒットでも有名です。いや、懐かしいなあ。 ブルース・ボーカリストとしてのポールの力量を感じます。 この曲、演奏してもなにかと奥が深く楽しめる気がしますね。ギターのカッティングもいい感じ。 14.Good Morning Little School Girl(G:リッチー・サンボラ) ここで再び私の好きなヘビー・ハード路線に(笑)。 14曲目にこのようなナンバーが入っていることに意味があります。 ピノのベースも極限までゴリゴリ硬くしていてヨイなあ。 ギタープレイも期待通りに盛り上がってくれます。 15.Muddy Waters Blues(G:ニール・ショーン) 最後はまたマディ・ウォーターズ・ブルースで締めです。 やっぱりこの曲はハイライトになるかな・・。 メンバーたちの魂込めたプレイが、心に共鳴してきます。 雨の中を歩いていく 靴は水浸し 感じるのは心の痛みと マディ・ウォーターズの ブルーズだけさ 川もすすり泣いている 失うものなど何もないんだ 嘆いている柳の木の下で マディ・ウォーターズの ブルーズとともに これだけの豪華力作アルバムはそうない。 永久保存版です! 常備菜として、行楽のお供に、お父さんのおつまみにも!ぜひお手元に一枚。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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