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オフミの温泉メロディ

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Nov 11, 2006
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18年ほど前か、太宰の「津軽」を何気なく読んでいて、こんなところが私の旅心のどまんなかに刺さった。

「もう少しだ。私たちは腰を曲げて烈風に抗し、小走りに走るやうにして竜飛に向つて突進した。路がいよいよ狭くなつたと思つてゐるうちに、不意に、鶏小舎に頭を突込んだ。一瞬、私は何が何やら、わけがわからなかつた。

「竜飛だ。」とN君が、変つた調子で言つた。

「ここが?」落ちついて見廻すと、鶏小舎と感じたのが、すなはち竜飛の部落なのである。兇暴の風雨に対して、小さい家々が、ひしとひとかたまりになつて互ひに庇護し合つて立つてゐるのである。

ここは、本州の極地である。」


故郷の津軽を30年ぶりに訪ね、津軽の自然風土、人情などを描写し、また思い出の人々との再会を生き生きと描いたこの作品には、他の作品では隠匿されている太宰の生来のポジティブさが感じられる。とくに乳母の「たけ」との再会の場面は心をゆさぶるが、それは原文をあたっていただくとして・・。

津軽

私は居ても立ってもいられなく、父を誘って津軽にクルマを向けた。

青森から東津軽に向かうと、外壁に石張りで「こぎん刺し」のような模様をあしらい、ベランダのところが引っ込んだような独自の建築様式の家が目立ち、そのうち、そうした家も、だんだんとまばらになっていく。

道もどんどん細くなり、ときおりさしかかる集落も、いかにも寒村という風情、というより、こんな鄙びたところは見たことがなかった。

網小屋のような建物がぽつりぽつり、それから思い出したように酒屋だけが現われる様子に、もう数十年前に書かれた小説の様子から、もしかするとあまり変わっていないのかもしれない、と思った。
高度成長の波しぶきさえかからなかった地帯なのか。

私は同乗していた父と顔を見合わせ、すごいねえ、この様子だと、旅館なんてものは期待できないねえ、蟹田付近でこの程度なんだから、この奥はもう、何もないだろうよ、なんて事を話した。

私が電話で予約を入れていたのは「ホテル竜飛」。
「ホテル」とはいうものの・・。
私がガイドブックで見たときは、ちゃんと旅館のようだったが、そのことすら、
だんだんあやふやな記憶に思えてくる。

「まあ、屋根があればいいか・・。海なんだから、魚はあるだろうし」

海はあるけど、漁港はあるだろうか・・。

風が強くなってきた。

私たちは目の前を過ぎていく荒涼とした狭苦しい光景に、最悪の事態を覚悟していた。

(注:あくまで18年前の話ですスマイル。)

続く。


田中力雄さんの青森県産 活きホタテ1.3kg(7~8枚入り)





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最終更新日  Nov 11, 2006 06:29:53 AM
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