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テーマ:温泉について(1667)
カテゴリ:その他の東北の温泉
(今夜はもう、とんでもないボロ旅館かもしれねえなあ・・。) と覚悟を決めつつも、 (でも電話は通じたのだから・・) と自分を慰めると、驚くほど不安が高鳴った。 三厩もまた、狭苦しい村だった。 鶏小屋・・今でも太宰の描写に近いものがある。 当時はさぞや・・と思われる寒村だ。 実にわびしい。このわびしさに、価値があるのだ。 私はまた、自分に言い聞かせた。 集落に入ってすぐ、遂に目当ての旅館が姿を現した。 そのときの父と私の反応は・・。 「おおっ!ちゃんと旅館の格好している!」 で、あった。 (↑なんと失礼な感動であろうか) 私は心の中で「歓喜の踊り」を盛大に舞った(どんなだ!)。 「ホテル竜飛」。これは当時のパンフをスキャンしたもの。 しかし、今外観の写真をみると、結構キテいたなあ・・。 正面に止まっているクルマなど、時代を感じますね。 館内もさすがにやや寂れ目で、壁紙のハガレなどが目立つが、まあとにかく私たちは事前に相当の覚悟をしていたので、触れるもの見るものがとにかく有り難いばかり。 当時一室しかないバス・トイレ付きの部屋。 ちゃんと洋式のトイレがついていたのには驚き。 私たちは、窓際の椅子に腰掛け、荒々しい海岸線を眺めつつ安堵のビールを干した。 なんでも、映画「海峡」のロケ隊がこの宿を基地にしていたとのことで、そうすると、主演女優の吉永さゆりがこの部屋に泊まったかもしれないなあ、なんてニンマリした。 竜飛の岩石を配したという、ガッチリとした大浴場。 魚の泳ぐ水槽で男女が仕切られるという趣向で、泉質は覚えていないが、場所からして塩化物は含んでいるはず。 そして、夕食、朝食ともに、浜辺の宿として申し分のない料理が供され、私たちは心底満足したのであった。鮮度のよいマグロ、イカ、ホタテなどが並ぶ。 父は魚を釣って自分でおろし、料理するような人だったので、旅館で刺身のイキが悪いとたちどころに機嫌が悪くなるところがあった。私は父が亡くなったあとも、夕食を出されると真っ先に刺身をみるクセがついてしまっているのだ。 朝のぴかぴかしたイカの刺身も、忘れがたい味だった。 父「いい宿だったじゃないか。心配して損したな。」 私「いや、心配したからこそ満足度が高かったのかも・・」 この旅館が、楽天トラベルにも登録されているのを知り、懐かしく拝見した。 おお、改築されたのか。立地は最高だから、これでさぞかし素晴らしい旅館になっただろうと、「お客様の声」を覗くと、ありゃ?思いのほかキビシイ意見が多い。 「夕食朝食ともに満足、風呂もよい」という意見と「これまでで最低ランクの宿」という意見が真っ二つに分かれている。こういうケースも珍しい。 一体、どうなっているものやら。 私の記憶にある「ホテル竜飛」はいいことずくめだった。 指摘されたところは簡単に改められることばかりだから心配ないとは思うのだが。 ただ、こういう場所なので、従業員の方にプロフェッショナルを求めるのは酷ではないか。 ここも一人で泊まることができるし、今度また、行ってみようかな~と思っているのだ。 (これも当時のパンフ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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