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オフミの温泉メロディ

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Jun 26, 2007
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カテゴリ:よもやま話
(亡父と語る夢)


ひどい嵐の夜だ。

私は実家の、自分の部屋でベッドに腰掛けている。

強い雨が北側の窓に吹きつけ、ゴトゴトと音を立てる。

ときどき、部屋の南側の廊下を、電灯を持って誰かが歩いているのが擦りガラス越しに見える。

母が、嵐を警戒して家の中を見回っているのだろうか・・。


私が廊下に出ると、その突き当たりの押入れを開けて、一番上の棚から何かを探している大男の後姿が見えた。背丈は2メートルほどもあるようだった。

あっ、と思った瞬間、その体が160センチくらいに縮み、振り向いた。

その姿は亡くなったはずの父だった。

麻地のベージュの上下を着ていて、10歳くらい若返った印象だ。


父がこのように生き返ってくる夢は何べんもみているので、その時も違和感はなかった。
「何だ、オヤジか」
と言ったと思う。

次の場面、雨のあがった夜道を父と歩いている。

「あの世って、こっち側とはずいぶん違うんだろうね」と私が問いかける。

「いや、ほとんど変わらない。物質がまったく同じようにあるから」

この父の答えは意外であった。あの世は精神だけの世界だと思っていたからだ。

歩道の両側には雑草がかぶさるように長く伸びている。


「男女の別もあるの?」


「ある」


「この世で覚えたことは、あの世では使えるの?」


「使えるよ、同じように。だから何歳になってもいろいろなことを覚えたほうがいい」

「でも国というものは、同じようにはないさね・・・」


と言うと、父は少し考えて、


「ああ、グループごとに暮らしているから。」と答えた。



ロータリーのところにコンビニがあり、若者たちが二輪車を停めてたむろしていた。

彼らは地べたに座り込んでタバコをふかしている。

私たちはここで来た道を引き返した。


帰りはお互い、無言だった。

見たこともない、古びたアパートに入った。

そこで部屋ごとのブレーカーが並んだ大きい配電盤があるのを珍しく見ているうちに、父の姿が見えなくなってしまった。

ああ、戻ったんだな・・と感じた。


「あの世でも物質はあるんだ」

という父の言葉が、鮮烈に心に残っている。





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最終更新日  Jun 27, 2007 04:46:28 AM
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