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テーマ:変な夢見ませんか??(844)
カテゴリ:よもやま話
(亡父と語る夢)
ひどい嵐の夜だ。 私は実家の、自分の部屋でベッドに腰掛けている。 強い雨が北側の窓に吹きつけ、ゴトゴトと音を立てる。 ときどき、部屋の南側の廊下を、電灯を持って誰かが歩いているのが擦りガラス越しに見える。 母が、嵐を警戒して家の中を見回っているのだろうか・・。 私が廊下に出ると、その突き当たりの押入れを開けて、一番上の棚から何かを探している大男の後姿が見えた。背丈は2メートルほどもあるようだった。 あっ、と思った瞬間、その体が160センチくらいに縮み、振り向いた。 その姿は亡くなったはずの父だった。 麻地のベージュの上下を着ていて、10歳くらい若返った印象だ。 父がこのように生き返ってくる夢は何べんもみているので、その時も違和感はなかった。 「何だ、オヤジか」 と言ったと思う。 次の場面、雨のあがった夜道を父と歩いている。 「あの世って、こっち側とはずいぶん違うんだろうね」と私が問いかける。 「いや、ほとんど変わらない。物質がまったく同じようにあるから」 この父の答えは意外であった。あの世は精神だけの世界だと思っていたからだ。 歩道の両側には雑草がかぶさるように長く伸びている。 「男女の別もあるの?」 「ある」 「この世で覚えたことは、あの世では使えるの?」 「使えるよ、同じように。だから何歳になってもいろいろなことを覚えたほうがいい」 「でも国というものは、同じようにはないさね・・・」 と言うと、父は少し考えて、 「ああ、グループごとに暮らしているから。」と答えた。 ロータリーのところにコンビニがあり、若者たちが二輪車を停めてたむろしていた。 彼らは地べたに座り込んでタバコをふかしている。 私たちはここで来た道を引き返した。 帰りはお互い、無言だった。 見たこともない、古びたアパートに入った。 そこで部屋ごとのブレーカーが並んだ大きい配電盤があるのを珍しく見ているうちに、父の姿が見えなくなってしまった。 ああ、戻ったんだな・・と感じた。 「あの世でも物質はあるんだ」 という父の言葉が、鮮烈に心に残っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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