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テーマ:温泉について(1666)
カテゴリ:鳴子温泉郷(宮城)
店に入ったら、シェフは正面のテーブルででかでかと新聞を広げて読んでいた。
「うわっ、客だ!」と心底驚いたようなそぶり。 私もはじめての客だったら、物凄―くこの先が不安になるところであろう。 しかし、この店はいつもこんな調子なのだ。 それでいて一人で作って持ってくる料理は素晴らしく美味しく、その取り合わせにこそ味わいがある。 このたびの反応も、また期待を裏切らないものであった。 今日も寝癖のついた髪形と妙な鼻歌は健在であった。 しかしシェフ、サンダルはないでしょー!! ビーフシチュー1200円也を注文。 待つこと15分。シチューなんか、作りおきしてるんだからもっと早く出てきてもよさそうだなと思っていたら、すごい!シチューが皿のなかでグツグツ煮えたぎっている! ポテトは煮込むのではなく、いったん焼いてから入れるなど、工夫がみられる。 どっさりと入った肉はとろとろで、やるじゃん、シェフ! もちろん味も甘すぎず、どっしり渋みの効いた本格派。 こりゃええとムハウハ食べていると、ガイドブックを手にしたファミリー4人連れが入ってきた。 (いいぞ!お客が入った!) 私は心の中で喝采した。 家族はハンバーグ定食かなんかを発注。 (もー少し単価の高いものをなんか頼まんかい。そうだ、ジュースとかはいかがか?) と私はすっかりこの店の後見人のような心境である。 シェフの動きがどんどん俊敏になっていく。 そこに、ドアが開いて、3人様、4人様と客が立て続けに入ってきて、店内はたちまち一杯になった。 (なんだ繁盛してるじゃないか!) 私は嬉しくなるとともに不安も高鳴った。 だって、一人で4倍速で立ち働くシェフ・・・。 私はいつ勘定を支払えばいいのだ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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