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テーマ:温泉について(1679)
カテゴリ:鳴子温泉郷(宮城)
鳴子湯乃里 幸雲閣
幸雲閣では夕食なしで泊まっているため、温泉街に出て腹を満たすことが次なる楽しみとなる。 はじめ「登良屋旅館」ででもなんらかの定食をとって、ビールでもぐびぐびやりるかという目論見で温泉街の端から端まで歩いてきたのだが・・残念、土日は3時頃で店仕舞いのようだ。 それでは定番に戻るのみ! 叩きつけるような雨の中、鳴子の誇る洋食屋、「銀の匙」の主人は、いかにもヒマそうな顔をして客の来訪を待っていた。 メニューをふくめ、本来ホスピタリティが溢れていることはよくわかるのだが、ご主人を間近でみると、どうにも気難しい感じが圧倒的に迫ってくる。「俺なんかがこの店に来て迷惑じゃなかったろうか・・」といういらぬ懸念が生まれてくるのだ。 私がごめんくださいと入ったときも、もう7回以上は顔を見せた客なんだから、もう少し「特段の顧客」という識別サインがあってもいい筈なんだが、このご主人、ただ俯いていらっしゃいませ~とつぶやくのみ。 雨のせいか自分でもなんだか気分が低調である。 私は少しでも盛り上げようと思い(なんで客がそこまでする)、メニューの中の最高峰である「ステーキ定食」(1600円)と「生ビール」(400円)を発注した。 主人の動きがとっさ4倍速になった。 そこに一人の老人が入ってきて、「ビーフシチュー・・」と渋く呟いた。 そして、「寒くなったね・・」と老人は店主に話しかけた。 店主は「寒いすね・・」と短く応えたのみだった。 地域の名士であろうか、丹波哲郎風の風貌と立ち居振る舞い。 さしてきた傘も相当いい趣味だ。鳴子の街にもこういう人が住んでいるんだなあと興味深くみた。 そしてこういう人はやはり、こういう店を選ぶのだろう。 さてシチューは確かにうまいのはわかっている。鉄鍋の中に、ぐつぐつ煮え立ちながら出される。 ステーキは今回はじめてだったが、やはり、期待を裏切らないものだった。 表面が焼き固められているのだが、一口噛むと肉汁がじゅっとお約束通りに飛び出してくる。 この店、どれをとっても失敗作ってものがないんだから大したものだ。 生ビールをもう一杯注文しようと虎視眈々としていたのだが、ご主人、ビーフシチューづくりに全精力を傾注しているようで頼むスキがなかった。 勘定のさいに初めてご主人に「相変わらず美味いですね!」と話しかけると、ご主人はえ?うまいの?というような顔をしていた。 「ありがとうございます」くらいのことは、おっしゃったような気がするが・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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