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テーマ:バンドマンの語り場(1286)
カテゴリ:レッド・ツェッペリン解説
レッド・ツェッペリンの名曲の中からお気に入りの10曲を選びます。
5位から1位を紹介します。 5位 GOOD TIMES BAD TIMES およそハードロックが好きな者で、この曲が性に合わないということがあるでしょうか。 だいぶ昔だけど、私は一発で好きになりました。 ロバート・プラントのボーカルは出た!これぞハードロックの決定版という感じでした。 プラントとペイジの2トップは当時ルックスも最高に素晴らしかった・・。ボーナムだって晩年は三国志の「張飛」でしたが、当時はやせてカッコよかったんだ。ドラマーはイアン・ペイスといい、ロジャー・テーラーといい太るのは職業病かもしれません。 さてこのボーナムのバスドラムは、大学のサークルの先輩が、「プロでもここのところで大抵ギブアップするんだよ!」と力説していたことを思いだすのです。 ツッドドツッドドツッドドタッドドを延々くり返すところ・・。 当時の先輩は、ここはシャッフルになってはダメだぞと言っていたが、いやいや、ちゃんとハネてます。 このテンポなら、今ならやってやれないことはない気もするが、たとえできてもパンチが違う、ノリが違うのでしょう。そもそも、この曲に、どうしてこういうリズムパターンを考えたのか。賞賛に値します。 *good times, bad times, You know I had my share; のところでスッタタカタタカダドコドとオカズが入るというのも、ちょっとイレギュラーな感じで非常にいいです。 タムを速叩きせずタタン、ドドン、タタンと(今日は擬音大会だな)ゆったり叩き下ろすオカズもボンゾ印であり非常に独自な重量感を与えています。 ヒステリックな音色で掻き毟るようにプレイするギターソロももちろんいいですが、ボーカルの合いの手に入れるギターも一回ごとに気のきいたフレーズを繰り出しています。 ベースもところどころに「出番」があり、4人それぞれの力量もきっちりご披露しましたという感じです。 不満は、当時の録音技術の限界が、一人一人の素晴らしいプレイが明快に分離せず、音がダンゴに聴こえること、それから、あまりにも短くあっけなく終わってしまうこと!あと30秒長いと申し分ないのですが。 4位 In The Evening 混沌とした雰囲気の、イントロともいえないような黒い霧の世界。ちょっとブラック・サバスっぽいか・・その中から突然浮かび上がってくるギターのリフ、これ一発で秒殺です。 このアルバム、「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」はツェッペリンが発表した最後の作品です。この頃プラントに個人的なトラブルが相次ぎ、またペイジもヤル気をなくしていたとのことで、ほとんどの曲がYAMAHAのシンセサイザー"GX-1"を駆使しはじめたジョン・ポール・ジョーンズの作となっているといいます。 どうにもテンションが上がらないので、苦肉の策で中でも一番これまでのツェッペリンのイメージを持つ曲をA1に持ってきたのでしょう。 確かにこの曲で一番活躍しているのはジョーンズのキーボとベースです。 ドラムはオトはいかにもボーナムかもしれませんが、リズムがあまりにも単調だし(2回出てくる爆裂音のオカズは面白いけど、よくわかりません)、ペイジのリードギターもフレーズに精彩がないというか覇気がないというか・・。 むしろギターソロの後のブリッジの部分が美しいです。ベースの方がはるかに指が動いています。 神々しい感じのナンバーだが、歌詞はごくありきたりである。 この曲をライブでやったヤツはどうもいただけない。 http://www.youtube.com/watch?v=_vPK8LVdf5I&feature=related たとえばこれっ。ジョーンズがベースのパートをフットペダルで演奏するのですが、それが単調で、学芸会みたいになってしまっています・・。スタジオバージョンのベースの変幻自在を取ると、こうもつまらなくなってしまうのです。 こういう曲は、誰かキーボの助っ人を入れればよかったのにね・・って今更言ってもどうにもならんですが。 ・・文句ばかり言いますが、このリフ一発で4位です(笑)。 3位 IN MY TIME OF DYING 1960年代初期から多くのロックミュージシャンによってカバーされた、トラッド・ブルースです。この曲の起源は1930年ごろ、ブルース・ゴスペルギタリストのブラインド・ウィーリー・ジョンソンによりレコーディングされた " Jesus Make Up My Dying Bed"に遡るといわれます。 チャーリー・パットンのバージョンでは"Jesus is a Dying-Bed-Maker"とされています。ショッキング・ブルーやボブ・ディランなどによってもカバーされました。 (参考 英文WIKI) ツェッペリンの手になるこのバージョンは、なんと言うかパンク・ブルースとも言えるような仕上がりです。ドラムスの素晴らしさが話題になりますが、テク的に難しいことは何もしていません。オトとノリが図抜けているだけです。ジャズやフュージョンと違い、ロックのドラマーに求められるのはこういうものなのでしょう。 特に4’06”からのプレイにおけるハイハットの音が出色です。名人の揚げた天ぷらのようなサックサク感(?)を基調とし、ルーズになったりタイトになったりという音色の変化は、ハイハットのオトが手足の共同作品だということを改めて痛感させるお手本です。 6’36”からのペイジのスライド・ギターは、私はプレイしないので、凄いのかどうかは判じかねますが、曲にぴったりマッチしていることは確かです。 ふたたびドラムに耳を転じれば、7’26”からのオカズ二連発が、それまで抑えられていただけに効果絶大です。 10’00”あたりからのフィニッシュに向かうヤマはボーカルの聴かせどころ。 最後の「咳」はワザとにしては腰が入っています。 このあたりのツェッペリンサウンドはまさに抽象の鋼の彫像といった趣です。 2位 ACHILLES LAST STAND 有名な、「アキレス最後の戦い」です。 ツェッペリンとディープ・パープルの一番の違いは、その曲がどの時点でビビッと来させるかだと思っています。 ツェッペリンにおいては、傑作曲の場合は、あるパートがイントロを奏で、他のパートが一発重なった瞬間に、うっ、キマッタ!!となることが多い。 それに対し、パープルの場合は、基本的にスロースターターであり、イントロはそろりと始まり、ヴォーカルが少しづつ盛り上げ、ギターソロやキーボソロあたりでピークが来るパターンが定着しています。なぜか、ツェッペリンのように、イントロだけで悩殺する曲はあまり覚えがありません。(Knocking at Your Back Doorは、イントロで決まって、ボーカルが入ったとたんズッコけますが。ボーカルでピークを迎えるのはなんといってもChild in Timeか。) ツェッペリンは逆に、「天国への~」のような例外はあるにせよ、ペイジのギターソロでピークを迎える曲ってあんまり覚えがないのです。そういう意味ではこのアキレスーなどはいかにもツェッペリンらしい曲です。 ペイジの空間をたゆたう吟遊詩人的なギターに、畳み込むようなジョンポールのベースとボーナムのドラムが重なった瞬間、この曲のパワーは9部9厘決定づけられています。 素晴らしいイントロです。真の勇者登場!という感じがでている。 あとはどこまでも疾走するだけ。 また、ボーカルは、パープルのギランが「ア~キャー」のボーカルだとすると、プラントは「ウウ~」の人だと言えるかもしれない。カヴァーデイルは、「ハア~」か。 この、ベースのコード音を全部押さえてピックで引っかくような奏法はなんと言うのだろうか。これが通常の、アタック音を消したジョンポール標準仕様だったら、ここまで感動的なナンバーになったか、どうか・・。 ボーナムのプレイはずーっと同じパターンを繰り返しているが、01’17”のオカズが凄いです。どうということのないシングルストローク6連譜3連発なのですが、入るポイントが絶妙の上に、ロールがまるで中山平温泉琢秀の湯のようにすべやかです。 01’57”のブリッジの美しいことよ・・ベースがフレーズを後半弾かないのも効果的です。03’40”からのギターソロはまったく何ということもないフレーズですが、テロテローと無闇に速弾きされるよりか、どんだけいいだろうか。しかし、他のテクニカルなギタリストのプレイだったらどんなんだろうか、想像するのも悪くないです。 多分合わない=スティブ・ヴァイ、イングウェイ、スティーブ・モーズ 多分、同じような感じになる=トミーボーリン 多分、良くなる=ウルリッヒ・ロート 多分、本気で弾かない=リッチー ふたを開けるまでわからない=ジェフ・ベックと、 このようになるのではないでしょうか。 この曲は、いいステレオで、ヘッドホンでなく大音響で聴きたいものだと思います。「プレゼンス」は後期ツェッペリンの傑作アルバムだと言われます。確かに、フィジカル・グラフィティとプレゼンス、甲乙つけがたいくらいに好きです。 1位/BLACK DOG 高校時代、パープルが断然好きだった頃、ツェッペリン2だけはアルバムを持っていたのですが、今ひとつピンと来ていなかった・・。「胸いっぱいの愛を」はタルいな~と思っていました。ラジオで流れまくっていた「移民の歌」もあまり琴線にはふれませんでしたが、しばらく後にシングルカットされたこのBLACK DOGで、なぜかグググッと来たのです。 ツェッペリンというのは、こういうバンドなのかと、初めて悟った感じがしました。 音の塊がそのまま向かってくる感覚・・パープルもそうだったが、一発でガツーンと来る感じは、ツェッペリンのほうが強い。 こういうのがどちらかと言うとロックの本流なのかな~思いました。 ストーンズやエアロスミスなどとも共通する、ボーカルが先導する荒々しさ。ボーカルの色気が前面に出て、それを重厚なサウンドが締める。 クラシックのクの字も感じさせない潔さ。 そしてアタックのはっきりした重いドラムとユルいベースの取り合わせ、このサウンド様式はこれまでどこにもなかったツェッペリンの「発明」であります。 歌からリフに入る際、ほんのわずかだが間をタメる感じ、これがいいんだな。 0’42”のリズムのズラシは、この曲を一躍有名にした名トリックだ。 3’17”からオーバーダブで2本目のギターリフが入るが、ラリった感じがなんとも言えません。このときのバックのベース音が非常にゴリゴリしたものに変わっているのが効果的。3’42”のギターソロに入る前のゴログルググ・・という「付き出し」のような手なぐさみのようなオカズがまた絶妙です。 その後の呂律まわらぬフレーズまわしが上手いんだかヘタなんだかという気もしていたんですが、こんなフレーズはジミー・ペイジの頭脳にしか考えつかないのではないでしょうか。 BLACK DOG・・激しく、卑猥で、重く熱い。これこそロックの真髄、今聴いてもとても魅力的です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 21, 2010 09:11:49 AM
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