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テーマ:温泉について(1667)
カテゴリ:東北以外の温泉
山口瞳「温泉へ行こう」1978
***** ・・僕は出張で甲府へ行けば湯村温泉の常磐ホテルに泊まるようになった。そのほか、女房と二人で遊びにいく。女房の母を連れて甲府に泊まって身延山に参詣する。女房の姉を連れて昇仙峡を見物する。いつでも常磐ホテルに泊まった。 ・・・ 七時半に食事と言っておいたら、七時半ぴったりに女中が呼びにきた。別室に用意したという。 鯉のあらい フキノトウ、タラノメなど季節の山菜の天ぷら ソバの実の酢の物 煮貝(甲府名産のアワビ。大好物) アユ塩焼 ホウトウ鍋 これが、腹が減っていたせいかもしれないが、めったやたらにうまかった。バカうまであった。「先生のおかげで、こんなうまいものが食べられる」と徳サンが言ったが、温泉旅館で、いつでも、こんな上等な食事が出るとはかぎらない。決して高価でも珍奇でもないが、一皿一皿に心がこもっている。 ・・・温泉というのは、人それぞれの好みがあろうけれど、旅館に着いて、とりあえず浴場へ走っていって、ズボンと飛び込む。これがヌル目であって、漬っているとジワジワッとあったかくなる。「ああ、いい湯だな」。これじゃなくちゃいけない。常磐ホテルの湯が、まさにこれなのだ。 ******** 私の好きな作家・山口瞳はこのようにして、庭や風呂や建物、食事を褒めちぎっている。 私もこの本に紹介されている宿に何箇所かは泊まったが、この常磐ホテルが未踏である。 ぜひ泊まってみたいなあと常々思っているのだが。 ここに書かれている料理がこれまた、私の大好物ばかりなのだ。 現在でも、評判はすこぶる良いようだ。 山口先生が「酒池肉林」をやった花梨の庭は健在であろうか・・。 湯村温泉 常磐ホテル<山梨県> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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