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カテゴリ:東北以外の温泉
7年ほど前、会議で広島に3泊したことがあって、そのときにせっかくだから「岩惣」を人目見ようと宮島の真向かいにあるこのホテルに泊まったのだった。
しかしその年は物凄い猛暑で外気38度の日が続き、とても舟に乗って宮島に渡る気力もなかった。 ホテルの館内は、設備が整っていてとても居心地がよかった。 とりわけ、まるで温泉地のような趣向をこらした大浴場は、気詰まりな仕事の後の素晴らしいリフレッシュになったことが記憶に残っている。 その「岩惣」は、池波氏の随筆には、このように描かれている。 **************** 濃い夕闇の中に、木立が鬱蒼として見える。その向こうに灯が見えた。[岩惣]へ着いたのだ。 車から降りると石畳の道に、名物の鹿が立っていて、私たちを親しげな眼ざしで見つめている。・・・ 私は、奥まった離れ屋の[洗心亭]へ入ったが、同行の二人と夕飯を共にするため、通路へ出て行くと、そこにも雌鹿が坐っている。中年の女中さんが「この鹿は、今年の五月に生まれました」と、いった。 離れ屋は、紅葉谷の渓流に沿ってたちならんでいる。 島の表口とは、まるで別世界の静寂だけに、川の音が際立つ。 ・・・・ 料理は、いずれも念の入った、結構なものだった。 夜ふけて、洗心亭へもどりかけると、雌鹿はまだ、通路際の植込みの蔭に躰を横たえていた。 ・・・・ 本館の一部や、私たちが泊まった離れ屋は大正年間の建築で、ここへ一夜を過ごした外国人は、紅葉谷の自然と客室が一体となった、環境に目をみはるという。 ******************** この、「紅葉谷の自然と客室が一体となった」というところに憧れてしまう。 この宿は一人でふらりと泊まるようなところでもないだろうし、料金もかなりハイクラスなので、近くまで来ることはあっても、なかなか算段がつかないでいる。 さきほどホームページも拝見したが、うーむ、やはり別天地のようだ。 http://www.iwaso.com/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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