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カテゴリ:遠刈田・鎌先・小原温泉(宮城)
平日休みが取れたので、いつもよりちょっとだけ足を伸ばして鎌先で日帰り入浴を楽しむこととした。
過去に木村屋には2回、湯元一條に1回泊まったことがあったので、一度も行ったことのない「最上屋」と「すずき屋」を訪問したのだ。 特に「最上屋」は昔からの湯治場の雰囲気を色濃く残す建築で、青根温泉不動閣などと同様に、部屋に入って窓を開け、「ふううー・・」と呆けるということを一度はしてみたい、というような憧れの場所なのであった。 フロントで「ごめんくださーい」と何度か大声をあげても誰も出てこない。 いったん玄関を出て、渡り廊下のようなところで大勢で何かを干しているところに声をかける。普段は白石市内の会社か役所で勤務してるような若者が、快活に立ち上がって案内してくれた。 もちろん入浴だけの訪問なので部屋で寛ぐということはしなかったが、それでも昭和のはじめから増築、増築で迷路のようになっている館内は実に趣が深い。 通路の窓から一体いつの建築だい、というような建物の一部がちらりと見えたりしていろいろと想像をかきたてる。そして自分が数十年来の客であるような気がしてくる。 日帰り入浴で通された風呂は、窓から坪庭と小さな神様の祠が見える湯治用の小じんまりとした浴場。 このほかに旅籠部用の少し立派な風呂と、4階に貸切風呂があるようだ。 ここは、裏山の擁壁に面し、そこには細いながら通路のようなものもあるが、非常用だろう。 5-6人ぐらい入れる湯船には、濃厚な土色の湯が掛け流されている。 含石膏食塩泉。加水・循環なし。 ちょっと熱め。 目をつぶる。お湯がざざーっと音をたてる。 強い日差し。神の祠。あとは自分だけ。 無為の時間が嬉しい。 湯上りに玄関まで一直線に戻るのももったいないので、館内を回り道などしたが、こういうときに従業員さんと会うとなんとなく気まずいものだ。風呂だけの客なのに、なぜここに?みたいな不審な感じかするものね。 やはりここは一泊して、夜中に足音をミシミシさせながらすみずみまで探検してみたいものだ。いろいろなドラマもあったろう。声なき声も聞こえてくるかもしれない・・。 鎌先温泉 最上屋旅館<宮城県> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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