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テーマ:☆仙台☆(1714)
カテゴリ:仙台、地域の肖像
たまたま仕事でこの近くに来たので、30分ほど散策しました。
私が中学校2年まで過ごしたまちです。 先日、高松界隈を「異境」と言いましたが、ここ文化町~南小泉界隈も、そこだけぽっかりと時代から切り取られたような感覚を覚える地域です。 狭く迷路のように入り組んだ道の両側に、あるいは狭い堀の流れに不似合いなほど稠密な桜の並木のある細い道沿いに、戸建て住宅がひしめくように並んでいます。 中には、昭和40年代から時が止まったかのような姿の家屋もみられますが、この地域の特徴は、アパートや店舗といえるものがほとんどなく、自用の建物あるいは借家しかみられない。 そして広い範囲にわたって、3階建て以上の建物がない。 同じような建物が平べったく並んでいる感じが、実に異質です。 人けの少ない静かな空間に、高架の貨物列車が、頻繁に行き来してガタコト音を立てていきます。 このあたり、それほど交通の便が悪いわけではなく、地下鉄河原町駅からも歩いて来れなくもないし、地勢も平坦で歩きやすい。 若林区役所などは、もう20年も前にすぐ近くに建ちました。 しかしなぜか市場性が乏しく、区画整理とも再開発とも、大規模集客施設の立地などとも全く無縁であり、なんとなく遠慮しいしい走っているうちに、いつの間にか周回遅れになってしまった・・そんな印象の地域です。 この「西文化会館」が当時と寸分変わらず残っていたのには涙がでましたね。 こういう建物が、区役所のすぐ近くに現存していることが奇跡的なことに思えるし、この地域の実力のなさを如実に語っているようにも思えるのです。 この建物で記憶が蘇りました。 私が小学校4年生の頃、教育評論家の先生が来て、近所の子供10人ばかりを集めて、なにかイベントをやった会場でした。 そのとき私はみんなの前で家族構成を聞かれ、まわりの小学生のように、上に姉がいて・・というのを直接言うのがたまらなく嫌な気がして、無愛想に 「2人兄弟で、長男で末っ子です!」 と言い切ったら、その評論家の先生に「なんとユニークな表現なんだ!」ととてもウケました。 その結果、テレビ(NHK地方放送局)に出されることになりました。小学校から2,3人という割り当てですが、その先生が推薦してくれたようです。 なんと出番は30秒!でしたが、これは実に貴重な経験でした。 「わたしの宝物」というテーマで話すというので、「緑亀」を持参しました(笑)。 このあたりにも「時代」を感じますね。当時ミシシッピから直送の緑亀は流行の最先端だったのです。 私が持っていたカメを入れた容器を観て、テレビ局の人が、この入れ物はまずいなあ・・と顔を顰めました。 「松島のり」と書いてあるのが、宣伝になるからNGだと言われ、紙で隠すことになりました。 NHKというのはこういう窮屈な所かと感心したことが、こうして記憶に刻まれています。 そのころはもう私の病気は直っていたものか・・。 実は私は、小学校3年生のときに顔面神経痛を患い、半年近くも学校を休み、このあたりを毎日、ぶらぶらと無為に歩きまわっていたのです。 ある日、母に連れられて、この細い堀沿いにある、小さな家を訪ねました。 母は、この家の主を病気見舞いに行ったのです。 40歳くらいの、色の抜けるように白い、綺麗な女の人でした。 玄関の脇には、水色のアジサイが咲き誇っていました。 ほがらかな会話が続きました。 お別れをして、堀にかかる橋を渡りきってから、母は私にくもった口調でこう言いました。 「あの人、悪い病気で、あと少ししか生きられないんだって・・病院では手をつけられないから、家に帰ってるそうよ」 私は強い衝撃を受けました。ああ、私があの人に会う前に知っていたなら、顔に出してしまうから、こうして帰り道で教えたんだ・・・。 このあたりを歩くと、いつもそのことを思い出してしまいます。 区役所前の通りの広い道路沿いには、面白い形のケーキ屋さんがあります・・と言おうと思ったら、地図で見ると、銀行???。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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