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社長室 業務日誌

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2005/08/16
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カテゴリ:カテゴリ未分類

SONYって、どうなっちゃうのかな・・・。
ダメになる前に、iPodに乗り換えた方がいいのかしら・・・。

ネットワーク時代の端末戦略について、世界をリードすべき会社、のはずだった。
そのために、何年も前から手を打ってきているはずだった。
皆も注目していた(と思う)。

なのに、ネットワーク家電の前哨戦である「ウォークマン」で大敗北を喫している。

この事実を、SONY自身はどう捉えるべきか。

―――――――――――

まだ、ネットワーク音楽機器はアーリーアダプターでの勝負のフェーズに過ぎない、
今後のアーリーマジョリティが本当の勝負だ、という見方もある。

しかし、SONYの従来の勝負パターンは、
アーリーアダプターの囲い込みによるブランディング形成・維持、だった。

そして、そのブランディングを、他カテゴリや、次世代製品に、
タテヨコに活用していくのが戦略の骨子だったはずだ。

新たなデジタルネットワーク時代に、それが通用しないとしたら。
それを活用できない経営陣だとしたら。

かつてのコンポの名門企業、DENONやONKYOの凋落が脳裏をかすめる・・・。

ブランドがありながら、戦略上、活用しきれてない、という哀しい事態。
宝の持ち腐れとなってしまい、再生フェーズへと突入。。
(※DENONは再生ファンドが、ONKYOはテクノセブンが買収・再生している)

既に兆候は出てる。

出井さんは、「再生」のつもりでストリンガーに経営を託したのだろうか・・・。

―――――――――――

SONYの、ネットワークウォークマンの販売動向を時系列で追ってみる。
ここ半年、完全にAppleにボコボコにいかれてる。


2005/04/26
【記事】ウォークマン大逆転、ついにiPod Shuffleを抜き一躍トップに
http://bcnranking.jp/flash/09-00002053.html

2005/05/29
【記事】SONY復活は本物? 発売1ヶ月でシリコンオーディオ販売シェア、依然トップ
http://bcnranking.jp/flash/09-00002388.html

2005/05/29
【記事】トラックバックに答えて 「ウォークマン大逆転…」掲載の理由 たった4日のデータが物語る市場の姿
http://bcnranking.jp/market/03-00002389.html

【資料】携帯オーディオ機種別ランキング(05.6.13-6.19)
http://bcnranking.jp/ranking/02-00002853.html

2005/06/26
【記事】携帯オーディオ売れ筋20、アップル対SONYの構図鮮明に
http://bcnranking.jp/pickup/08-00002817.html

【資料】携帯オーディオ機種別ランキング(05.7.25-7.31)
http://bcnranking.jp/ranking/02-00003557.html


BCNによるデータ分析の誤謬の有無に関わらず、
4月にSONY出荷が好調だったのは事実だろう。
しかし、それは単にiPodの供給力不足が要因だったに過ぎない、という可能性がある。

なぜならば、5月以降、iPodの供給力やラインアップが強化され、
SONYは最高でランク10位、色別を合成すると圧倒的な敗北を喫している。

戦場に入った瞬間から、既に負けていた、勝負、といえなくもない。

―――――――――――

SONYは、今年の1月にはこのランキングに陥ること、予測できたはずだ。
自身が対抗機種を4月に投入する時点で、カラー・値段・用途などの多様化戦略や、
8月にiTunes Music Storeが登場すること、予測できたはずだ。

だから、現に、ネットワークウォークマンのMP3対応、
11月に海外発売予定の音楽携帯にはAAC対応をやっているではないか。

なんで、この情報を活かさないんだ!? 

知っていたにもかかわらず、SONYは、4月の時点で、
後追いでイノベーター&アーリーアダプターをとりに行ってしまった。
で、結果的にぼこ負け。

戦場に入った瞬間から、既に負けていた、といえよう。

後づけで、恐縮だが、
世界的に、「デジタル音楽・ネットワーク音楽の”SONY”は、Apple」だ、
とイノベーター&アーリーアダプターに意識づけられてしまっていた。

いつもSONYが手にしていた”SONY”の称号を、既に奪われていた。
SONYにとっては、やりにくい勝負だったろうなあ。

―――――――――――

ただ、携帯プレーヤーは、TV・ビデオの1/5の市場規模しかない。
だから、結果そのもの、は、さほどクリティカルではない。

むしろ、この負けを、どのように認識しているか、が重要である。
アーリーアダプターを持ってかれている(可能性が極めて高い)、
という事実に対しての認識。

全然わかってないようだと、SONYは危ない。

どこで危ないか、というと、今後の2つの「中盤戦」にて。

第一に、狭義の視点から、ネットワーク音楽機器での「中盤戦」
第二に、広義の視点から、ネットワーク家電全体での「中盤戦」

ネットワーク音楽機器でいえば、
8月のiTMSは、明らかに年末に大挙してやってくる
「アーリーマジョリティ」をとりにいく施策といえなくもない。

「曲も聴けるよ!」 という、楽しみ方自体の提案(ソリューション)。

iTMSのネット上のプロモーションも目を見張るものがある。
うまいと思う。よく知ってる。ネットユーザーのことを。

過去は、SONYがアーリーアダプターまでを耕し、
Panasonicや韓国系メーカーが、アーリーマジョリティ以降を刈り取っていく、
アーリーアダプター市場ではシェア40%だが、
その3,4倍あるアーリーマジョリティ市場では15%の首位に着地する、
ある意味、ダサいメーカーと協創・共存する、そんな流れだった。

なのに、今回、SONYは、アーリーアダプターからも無視されている。

―――――――――――

ネットワーク音楽機器は、市場規模でいえば1/5だ。
ここで負けたって、TV・ビデオ市場で取り返せばいい。

しかし・・・、取り返せるのだろうか? 

ブランディング戦略上、ウォークマンでの勝利、
つまりは、「家電メーカーとしてのブランディング」構築上、
勝利か敗北か、こんなに重要な市場はなかった、といえなくもない。

「デジタル・ネットワークなら、Appleだよね!」
「SONY? しょぼーい」
とか、みたいにいわれてみ・・・? 

もう何を出しても、AIWAの2倍、という単価設定を、誰も正当化してくれなくなるよ。

―――――――――――

SONYは、どんな手を打つべきか? 
最悪、ブランドイメージを汚さないこと。そんな一手。

最悪でも、翌年以降の家庭内AVリプレイス市場における、
シェア維持・向上につなげること。そんな一手。

その一手は、今後のSONYを大きく変えてしまう一手になろう。

Appleの単純な互換メーカーに陥いることなく、
「スーパーブランド」を維持する一手でなければならない。

単純な、ネットワークウォークマンのAAC対応機の投入、じゃダメ? 

うーん、それだとどうかな。
経営がへたくそな、マネ下電器、となってしまうかも。
最悪、ジリ貧の最中に「音楽メディア部門」を売却に陥る、負けの一手につながる。

この一手を放つ、その事前か同時に放ついくつかの布石の有無、
それがポイントか。

―――――――――――

打つべき一手は、

(1)『音楽メディアの記憶媒体規格の完全開放』
   すなわち、自社製のPC、AV・家電、TV、
   全ての機種に他社共通規格を採用すること。

(2)Mora(音楽ネット販売)も、ATRACだけでなく全ての規格で販売すること。
   iTMSと同等の価格帯か、価格帯が上ならば、圧倒的な音質を提供すること。
   但し、AAC規格もサポートすること。

そして、メーカーとしての原点回帰。
端末の魅力、サポートの充実、そのビジョンの完成度(=生活スタイル提案力)、
で勝負すること、だろう。

これをもって、SONY・ブランドを維持すること、だろう。

―――――――――――

Appleの後塵を拝するに至った理由は、SONYがメディア部門を抱えてしまっていたからだ。
メディア部門の要請に応じすぎ、ライツ管理技術・流通しくみに気をとられすぎた。

そんなの、後で取り締まれば、よかった。

自社単独としては悪手ではなかったが、Appleにスキを見せてしまった。
結果として「悪手」となった。
よくある話だ。

Moraなんかの収益貢献よりも、端末販売の収益貢献の方が圧倒的に大きい。
また、SMEの作品がコピーされまくったとしても、
端末販売の収益貢献の方が圧倒的に大きい。

この事実を、忘れてしまっていたのだろうか。
その後の動きが明らかに遅い。

後で取り締まれるのに。
怖かったのかな。もしくは、一種の驕り、だろうか。

元々、音楽メディア部門なんて、
端末メーカーが、端末メーカーとして、
そのシェア維持、戦略の完成度を高めるために、
部門を設立・買収・強化してきたのではなかったか。

―――――――――――

ソフトウェア(=音楽や映像そのもの)は、どんな端末だって売れる。
iTMS経由で売ったって、SONYのメディア部門はOKなのだ。
端末シェアはコンテンツ販売シェアと相関ゼロであること、
SONYはベータの敗北で学んだはずだ。
よって、事業ポートフォリオでコンテンツ事業を取り込んだ。
規格勝負に行って、爆死しない体制が整った。

今回の決算は、ある意味で、ポートフォリオ効果があった、といえなくもないだろう。
もし、メディア部門がなかったら、4-6月の赤字額、あり得なかった。

しかし、「音楽を聴く量」自体は大きくならない。
端末や流通チャネルが変わっているだけで、消費量自体は変わってない。
つまりは成長部門ではない、はずだ。

でも、例えば、映像と音楽がセットになることで、
音楽だけだと1,000円のCDが、
映像とセットで、1,500円とかになる、とかは描けた。

そして、SONYはそんな新たな世界を描く端末を、率先してつくるべきだった。

多分、そんなことをやりたくて、買ったんじゃないかな。
でも、自社規格をサポートする、という使い方しかできなかったね。
それでは、流通の絶対量が増えない。単価も上がらない。
しかも、サポートにすら、ならなかった。
メーカーとして、当該部門を抱えたシナジー、全くなかった。

映画部門では、他の配給会社がDVD化をリードする形で、
業界全体に貢献してきたのに、
SONYが主導すべきだったこの分野では何一つできていない。

それが、iPod/Appleへの敗北、の本質だと思う。

―――――――――――

MGM買収によって、映画コンテンツシェアは圧倒的となる。
これを武器に、デジタル映像規格で大勝負し、端末シェアで勝利する可能性があるSONY。
しかも、TPGとの共同買収だから、
自社の経営資源は端末だけに集中することが可能となる究極の一手。

SMEも、TPGに売却しちゃえばいいのに。

―――――――――――

SONYにとって、ウォークマンを失うのはあり得ない。
SONYブランドの象徴だもの。

この年末で、絶対に端末シェアを回復すること。
これが、ALLSONYの絶対目標となるだろう。

どんな一手なのだろう。わくわくするなあ。

―――――――――――

今後、Appleによる中堅家電メーカー(TV、ビデオ)の買収は十分にあり得る。
そして、かつてのSONYと同様の戦略をとってくる可能性、十分にある。
投資家は、Jobsによるブランディング戦略に興味を抱くだろう。

iTunes Movie Storeですよ。恐ろしいねえ。

ターゲットは、国内だと三洋か、もしくは韓国・PRCのメーカーだろう。
経営がしやすい韓国企業かな。
そういう意味では、DENONは対象外だね。残念。。。

以上






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Last updated  2005/08/16 01:34:59 AM
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