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社長室 業務日誌

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2005/08/31
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カテゴリ:カテゴリ未分類

あるドクターの告白。

―――――――――――

ドクターとしては、取急ぎ、出産を無事に済ませることが本分である。

でも、子供は生むものではなく、育てるものだ。

だから、一人の人間としては、
出産というイベントを通じて、
生まれてくる子供のことを真剣に考えてほしい。
親としての「自覚・覚悟」を醸成してほしい。
不安を取り除いてほしい。
両親同士でよく話し合ってもらいたい。、
よく考えてもらいたい。

しかしながら、僕がご両親にそうなさい、と諭す類のことではない。
なぜならば、僕が諭して、持たせた当事者意識など、意味がない。
自分自身で、自ら、心の底から、自分の子だ、育てたい!!! 
という強い思いが芽生えなければ、意味がないから。

ご両親がそう向かっていく、
親としての自覚を備え始めていく、
のを、ただ、見届けたい。

妊娠期間の約10ヶ月の期間とは、
君自身が世界に飛び出てくるカラダづくりの期間でもあるが、
ご両親のマインドセットを固める期間である、
と思っている。

この期間を経て、本当に「親」になる。
子供も親も育つのだ。

―――――――――――

実はね、みんな、君の受胎をとまどっていた。
初めての受胎だからね。

そんな中、僕は、君の出産を取り巻く人たちに、
「当事者意識」、「責任感」、「自覚・覚悟」
が未だ醸成され始めないことに、危機感を覚えていた。
特に、君のご両親自身でさえも。

なのに、臨月は、どんどん近づいていた。
そして、目前に迫っている。

君のご両親は、親としての心構え、その芽生えが本当に遅かった。
いや、もしかしたら心の内底には秘めていたかもしれないね。
ただ、自信が持てなかったのかもしれない。

臨月が目前になった今、
いつ、僕から切り出さなければいけないか、考えていた。
僕が言う類のことではないのに。

僕は、ドクターとして、恐かった。
このまま、君を出産させることを。
本当に、君の誕生が、皆の幸せを運んでくるのだろうか、と。

もしかして、君のことを真剣に考えているのは、
ドクターである僕だけなのではないか、と。

しかし、僕が諭して、持たせた当事者意識など、
その後も継続的に能動化しない。
自分自身で、自ら、心の底から、自分の子だ、育てたい!!! 
という強い思いが芽生えなければ、意味がない。

僕は、不安を押し殺しながら、
出産準備をドンドン進めていた。一ドクターとして。

―――――――――――

そんな中、今日、ようやく、君のママの口から、
「ずっと考えてきたが、この子を育てるには、このようにしなければならない」
「ずっと考えてきたが、私だけでは力不足だ、夫の協力も必要だ」
「夫に対して話していくにあたり、ドクターも協力をして欲しい」
という、強い責任感を伴った、極めて能動的な言葉が出てきた。

僕は、ずっと我慢して、この言葉が出てくるのを待っていた。

しかし、君のママには、予想以上の強い当事者意識と、覚悟が含まれていた。
僕は、涙が出るほど嬉しかったです。
僕も、恐かったのです。

こんなママの元に生まれてくる君は、きっと幸せになると思う。

はやく生まれてきてください。無事に。

以上







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Last updated  2005/09/01 11:44:04 PM
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