052189 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

社長室 業務日誌

社長室 業務日誌

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2006/03/23
XML

またまた、懐かしいメモが見つかった。

――――――――

『 どうせ つき合うなら 
   自分を高めてくれる 社長とつき合いたい。 』

――――――――

僕が、新人のとき以来、ずっとデスクのカベに貼っていたメモ書きだ。
もう、焼けて黄色くなっている。

座席移動の度に、画鋲で刺しなおたので、細かい穴だらけのメモ用紙。

新しい会社に転職して、その会社はカベのないデスクなので、
あと、社長は一人しかいないから、変に誤解されてもイヤだったので、
自宅のメモ帳フォルダに保存して、そのまま忘れていた。

でも、このメモを見るだけで、自分の仕事観・価値観を、
一瞬で、明確に取り戻すことができる。

この言葉をくれた、僕のインストラクター(Yさん)、前の会社。
全部、思い出すことができる。

毎日、毎日、見つめていたメモだからだ。

――――――――

僕が入社したてのとき。1997年(22歳)のとき。

僕のインストラクター(Yさん)は、
僕のことが嫌いなのかな? というくらい、
ほとんど喋らず、ムスっとしていて、
机が汚いと「そんなに汚くしてると、全部すてるぞ」と言い、
本当に捨てるような、そんな人だった。

そのときの課長(マネジャー)も、
「日本語のわからない新人とはしゃべらない」
「異星人とはしゃべらない」
というような感じで、僕、イヂメられてる??? みたいな、感じだった。

変な課に配属されてしまった・・・。と思った。

――――――――

同じ投資三部という部署に配属された同期は、
Kさんというインストラクターについた。
Kさんは、ITなど最先端・花形の業種を鋭意追い続けていて、
将来はシリコンバレー支社でやりたいんだ、という、
IT系企業が出てくるビジネスプラン発表会とか大好きで、
ネクタイもすっごいカッコイイ系の、とりあえず表参道で飲みにいこう。
みたいな、そんな人だった。

一方、僕のインストラクター(Yさん)は、
俺は、信用できる社長が好きだ。チャラチャラした奴は嫌いだ。
インターネット? あほか! ビジネスプラン発表会? 誰がいくか! 
俺は自分自身の足で、汗かいて、飛び込みして、
俺だけが見つけた社長を信じる!! 
という感じで、ネクタイはヨレヨレで、新橋が大好き!! 
というような人だった。

誰が見ても、正反対だった。

本人たちも、Yさんは、Kさんを、
つまり同期で、僕の同期のインストラクターを受け容れなかった。
「嫌いや」と平気で聞こえるように言っていた。

僕は、最初、僕のネクタイも、Kさんみたいにピカピカだから、
僕も嫌われてるのかな? 
と思うくらい、なんでそんなキツイねん~とへっこんでいた。

まあ、一緒に営業に随行して、(連れて行ってくれたのに)、
大切なお客さん(経営者)の前で居眠りしたり、
鼻水たらしちゃったり、鼻をズーズーいわせたり、(花粉症だから・・・)
Yさんを激怒させていたのもあるが。

どうして、神様は、この人を、僕のインストラクターにしたのか。。。
でも、僕は、なんとなく嫌いになれず、ついていっていた。
机の荷物を捨てられた時は、さすがに刺してやろうかと思ったけど、
それでも、ついていっていた。

仕事自体は、とても面白かったから、あまり気にならなかった。
この仕事がしたくて入社したから、人間関係はあまり気にならなかった。
というの大きかったと思う。

とにかく、大きい金が動き、すっごい儲かるチャンスがある、
という仕事内容に目がくらんでいた、と思う。

――――――――

Yさんは一言でいうと、ごっつ、変な人だった。

「Yが、インストラクターか~。あいつ、ひねくれてるからなあ。。。
 上司の言うことも聞かないし。一匹狼だし。
 おまえ、苦労するけど、頑張れよ~」

「インストラクターで、新人の一生は決まるからねえ。
 あんま、Yさんの真似したらだめだよ」

と、別の先輩によく言われた。

だからというわけじゃないが、
僕は、あまり、Yさんの言うことを、メモったりしていなかった。

――――――――

Yさんが、『ひねくれてる』、その理由を聞いた。
彼自身からは教えてくれなかったので、周囲に聞いた。

彼は、新人のときに大きな投資をした。
出会い頭の紹介案件が、たまたまエラく大きな案件にぶつかり、
何もわからないまま、相手(経営者)の素性もわからないまま、
トントン拍子で案件はクロージング。

彼は、「不世出の天才」「生まれついての投資部員!」
と周囲に絶賛された。
本人も、天狗になってしまった。

でも、実はその話、ほとんどサギに近く、
半年も経たないうちに、相手(経営者)に裏切られるわ、(≒資金回収危機)
そのリカバリーのときに上司・仲間に「お前一人のミスだ」と突き放されるわ、
たった一人で回収するために、なんと3年も費やした。
その間、全く新規投資ができず、評価は下げられ・・・。

やっと、そのトンネルを抜けて、新しい挑戦を再開し出した所。
今度は、自分の信じた相手だけに。じっくり取り組みたい。
自分自身で吟味して、吟味して、取り組みたい。

そんな1997年(28歳)という状況だったらしい。

そういわれれば、Yさんのセリフは、そういうのが多かった。

――――――――

僕は、あんま、まともに口を利いてくれなかったけど、
当時の課長に、いろいろと教えて欲しかった。

なぜなら、ミスター○○というくらい、当時のスーパースターだったからだ。
最高レベルの案件が舞い込む人脈を持っていた。
彼の周りにいる経営者は、皆、彼を頼ってくるのだ。
その理由を、誰もわからなかった。
    ※1997年当時、ベンチャー・中小企業向けバンカーとして、
     日本最高クラスのディールメーカーだったと思う。

だから、その彼に、直接、指導請いたい、みたいに頼んだら、

「おまえのインストラクターは、当該世代で最高の経験・実績を持っている。
 すごく苦労をしているし、外交の苦労を知っている。
 俺のやり方(※)と似てる。
 大切なことを一番わかってる、数少ない投資部員だ。
 Yの言うことを黙って聞いて、実行すればいい。
 それは、俺が言うことと、ほとんど同じことだ」

といわれた。Yさんに対して、周囲の評価とは正反対のことを言った。

    ※経営者の信用を獲得・維持することが、
     長期的な金銭的パフォーマンスを最大化する、
     (=回収作業の労を減らし、最もオイシイ前向き追加
       投資ラウンドでシェアを最大化できる、という考え方)
    ※良質の経営者の信用を獲得すると、
     類は友を呼び、さらに良質の経営者が紹介される。
     そのポジティブ・サークルを崩さないやり方。

――――――――

Yさんは、だまされた、その案件から逃げなかった。
また、だまされるかもしれない、この仕事からも逃げなかった。
助けてくれなかった、組織からも逃げなかった。

そんなにスネてるなら、辞めたらいいのに・・・
僕はマジでそう思っていた。
だけど、一匹狼的に黙々と仕事をしている。

いったい、なぜなんだろう? 

――――――――

一日の終わりには、その日、訪問した企業について、
インストラクターに報告する。
簡単に言うと、
「この会社、投資すべきか。僕はこう思います。なぜなら・・・」
という話をする。

普通の投資部員は課長に報告するが、
新人はインストラクターに報告するのだ。

この会社の競争力がどうだ・・・、とか、製品は完成する・・・。
キャッシュフローが・・・どうのこうの。
米国ではインターネットが流行っている・・・。

隣のシマでは、そんなことを、僕の同期とKさんがワーワー言っていた。
僕の同期は、目を白黒させながら、一生懸命メモっていた。

僕とYさんは、一瞬、その光景を見て、
そしたら、Yさんが、ボソっと言った。

「 どうせ つき合うなら 自分を高めてくれる 
  社長とつき合いたい よなあ・・・ 」

僕は、その瞬間に、頭の中がグォーってなって、
何かがバチバチってなった。

なんでもいいから、早く、このことをメモりたい。
そう思って、とりあえず、近くにあったメモ帳に走り書きしたのだ。

――――――――

仕事観、仕事人生観、物事のパフォーマンスへの考え方、
何のために、何をもってパフォーマンスとするか。
何をもって、生きててよかった、とするか。

出た成果・業績は「フロー」に過ぎず、
自分という「ストック」が出すもの。
だから、フローそのものを追うより、ストック形成こそ追うべき。

当時はわからなかったけど、
今となっては自分の揺るぎない価値観・人生観である、
そんな考え方のスタートが、あのとき始まった気がする。

「儲かる仕事・職業」ということより、
「自分を高められる、そんな相手に多く会える仕事・職業」である。
そのことが幸せである、ということ。

今日負けても、明日必ず来る。へっこんでも取り返せる。
だからこそ、取り返せるような自分をつくっていく
=ストックを形成していくこと。

周囲の評価はさして重要ではなく、
自分自身の、自分への評価こそが重要である、ということ。
だから、誰かと比較する観点を持つ必要がない、ということ。
もし比較するとすれば、昨日の自分だけ、ということ。
(自分のストックは自分にしか測れない)

そんなことを、個人という考えを、個人と会社・仕事の関係性を、
Yさんは苦心惨憺の3年間で体得したのだ。

それ以外は、実はそんなに重要じゃない、ということを知ったのだ。

――――――――

その後、Yさんは、僕に対して、ほぼ全ての報告に対して、
業種や規模、そんなことを一切関係なく、

「自分を高めてくれる、そんな社長(経営者)か?」
「損得関係ナシに、付き合っても損はない、そんな社長か?」
「ちょっと不振になっても、必死で支える価値があると信じられる、
 そんな社長か?」

と質問してくれた。

新人のとき、叩き込まれたのは、本当にこの考え方・価値観だけだ。
それ以外は、ほとんど教えてもらっていない。

隣のシマでは、僕の同期のノートは天井に届きそうになっていた。

――――――――

Yさん、本当にありがとうございました。

今も忘れてません。実践してます。
明日も忘れません。実践します。
一生、忘れません。

今は、自分を高めてくれる社長を探すというより、
自分を高めてくれる仕事そのもの、それに対峙する仲間や、
そういう経営者になろうとする気概を持った、そんなタマゴの人と、
つき合えることに喜びを感じてます。

自分のストックは形成できているだろうか。
僕は、自分では少しずつ、できてきていると思っています。
他人がどう言うにせよ、僕はそう思っています。

今でも、Yさんにお会いするときは、やっぱり緊張してしまいます。
今でも、電話口でハイッ! と、僕は気をつけしてしまいます。
また、報告できると嬉しいです。

以上






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006/03/24 03:31:23 AM
コメント(1) | コメントを書く
[超・基本的確認事項] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X